LINE代表取締役社長CEOの森川亮氏は10月9日、決済サービス「LINE Pay」など複数の新サービスを公開した事業戦略発表の場で、LINEが9月に株式上場を見送ったことについて「(上場は)選択肢の一つ。我々にとって一番大事なことは上場ではなく、事業を安定的に伸ばしていくこと」とコメントした。
株式上場の先送りについて「最適なタイミングで実施する」としていた同社。この日、森川氏は「今はとにかく新しいチャレンジをして、確実に、安定的に収益を上げられるようにしていくことのほうが重要。投資家が投資したいと思えるような形にした段階で、株式公開という選択肢を含めていきたい」と説明した。
LINEは今回、決済サービスに加え、タクシー配車サービス、フードデリバリーサービスなどを発表。さらにゲームと音楽の事業で、グリーとサイバーエージェント、エイベックス・デジタルとソニー・ミュージックエンタテインメントと手を組むことを発表した。
さまざまな領域のサービスを開始するのは「手を広げすぎている」ようにも見えるが、どのような狙いがあるのか。LINE上級執行役員 CSMOの舛田淳氏によれば、一連のサービスは順序を考えて展開しているという。
「まずはメッセージ。その後、LINE内でのオンラインサービスを増やしてきた。そしてその先に、LINE Payなどの“オフラインのつながり”が増えてきた」(舛田氏)。
また、ゲームと音楽の事業におけるジョイントベンチャーや新会社の設立に関して舛田氏は、「我々だけでつくるものと、パートナー様と一緒にやらせていただくものの2つの車輪で走れるタイミングがきたと判断した」と説明した。
無料通話・メッセージアプリ「LINE」のユーザー数は8月10日に5億ユーザーを超え、現在は5億6000万ユーザーに達しているという。ユーザー数の増加速度はこれまで以上に速まっているそうだが、今後の具体的な数値目標は明かさなかった。なお、月間アクティブユーザー数(MAU)は約1億7000万件とのこと。
6月に報じられた「韓国の国家情報院がLINEの通信内容を傍受している」という疑惑について、セキュリティ面などを理由に「そのような事実はない」と自身のブログで否定していた森川氏。これについて、あらためて見解を求められた同氏は「セキュリティのレベルを考えると、そういった事実はないと判断している」と述べた。
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