10月7~11日まで、千葉の幕張メッセで開催している最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2014」。ITや家電関連メーカーに加え、トヨタやホンダ、マツダといった車メーカーも出展している。これらのメーカーが集まっている「NEXTイノベーションプラザ」から、“IT機器の塊”といえるカーテクノロジについてお伝えする。
トヨタとホンダの今年のテーマは「水素」だ。トヨタはFCVと呼ばれる気体水素を燃料にした燃料電池自動車を2014年内に発売するとしており、会場ではコンセプトカーが展示の中心に据えられた。このFCVは水の電気分解の逆を行いながら走るもので、水素と酸素を結合させたときに起きる電気で走る電気自動車だ。化石燃料を使わないため、出るのは水だけで排気ガスなどは発生しない。
ここ数年で技術としては完成されてきており、トヨタのFCVは1回の水素の充填で航続距離830km、マイナス30度の寒冷地でも走行可能だ。水素はエネルギー密度が高いため、充電タイプの電気自動車に比べて航続距離を伸ばしやすいのが特徴だ。とはいえ、水素を燃料としているため、実用化にはガソリンスタンドならぬ「水素ステーション」の整備が必要になる。トヨタによると普及は2020年代からとしており、業界団体を中心に水素ステーションを整備していくとのことだ。
ホンダのブースにはなんと車がなかった。ブースの説明員によるとトヨタと同じく燃料電池自動車を出品する予定が間に合わなかったとのこと。ホンダもトヨタと同じく2015年中には燃料電池自動車を投入する予定だ。その代わりに鎮座していたのは、巨大な四角い装置。これは水道水と電気から水素を生成するものだ。今のガソリンスタンドのように、タンクローリーで補給しなくとも、「水素ステーション」が自分で水素を生成できるのがポイントで、燃料の輸送コストを削減できる。
また、例えば東日本大震災では、ガソリンスタンドにガソリンが届かずに動かなくなる車も出たが、この装置を使えば水道と電気という基本的なライフラインさえ生きていれば、自力で燃料電池用の水素を生成できるため、災害時に強いシステムとなる。ホンダも含め、トヨタも燃料電池自動車を「発電所」と捉えており、非常時には車で発電した電気で家庭の電力を賄うというコンセプトを打ち出している。
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