インプレスR&Dは、書籍「自動車ビッグデータでビジネスが変わる!」の発売を記念して、プレスセミナーを開催。9月初旬に米デトロイトで開催された「2014 Detroit ITS世界会議」の内容を報告したほか、自動車ビッグデータから自動走行システムまで、クルマとITの最新動向を紹介した。
身の回りのあらゆるモノがインターネットにつながる「Internet of Things」(IoT)に注目が集まっているが、その中でもクルマは早期にこのIoTを実現すると、シンガポール国立大学の佐藤雅明氏は語る。クルマは、走る、曲がる、止まるといった動作を可能にするために、すでに数多くのセンサを搭載しているほか、世界中のあらゆる場所に偏在しているためだ。
特に近年はクルマの“ビッグデータ”について活発な議論が行われているという。渋滞や事故などの交通状況や、ゲリラ豪雨などの天候、車内で流れるラジオなどの情報をいかに活用するかということについてだ。
自動車・カーナビメーカーは、クルマの保有するセンサデータをモバイル端末などの通信機器を使って収集し、そのデータをもとにさまざまなサービスを提供する「プローブ情報システム」を開発している。こうした情報を送信するクルマは「プローブカー」と呼ばれている。
たとえば、この先駆けであるホンダはプローブカーを使った交通情報サービス「インターナビ・プレミアムクラブ」を2003年から提供しており、2012年2月時点で約148万人の会員がいる。収集された現在の情報やVICS情報、過去に蓄積された区間情報などを活用して、ユーザーのニーズに合わせた経路情報を提示するものだ。日産やトヨタ、パイオニアなども、走行データなどを活用したサービスを提供している。
今後、このプローブ情報システムをさらに普及・発展させるために、鍵となるのが国際標準化だと佐藤氏は語る。たとえば、米国で走っている日本車の情報は米国のプローブ情報システムにはつながらないといった状態では、データを有効活用できないためだ。そのため各国の連携が求められるという。
また、クルマの情報を他の事業領域でも使えるようにするオープンプラットフォーム化や、クルマの走行履歴といったプライバシー情報の扱いについても議論を進めていく必要があるとした。
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