2012年の「総合書籍」は、9343億円。そして、2013年の「総合書籍」は、9366億円になります。
あれ? 増えてませんか? 増えてますよ……ね?
+23億円、率にすると+0.2%ですが、確かに増えてます。
出版って「不況」じゃなかったんでしょうか? 「不況」って売り上げが減ること……ではなかったですか?
インプレス総研は、2018年までの市場予測も発表しています。仮に、まったく仮にですが、紙の本の市場が2018年まで横ばいだったとしたら、総合書籍市場はどうなるでしょうか? それをまとめてみたのが、次の図です。
「紙の書籍が今後5年間横ばいを維持する」と仮定すると、今後、総合書籍市場は右肩上がりの成長軌道に入り、来年には1兆円台に復帰、2018年には1兆1220億円に達します。これは、過去最高だった1997年をも凌駕する数字です。
「紙の書籍が今後横ばいだなんてありえない」? はい、確かに。では、紙書籍の予測値を2002年以降の平均減少率(年率-1.5%)で補正してみましょう。そうすると、どうなるでしょうか?
はい。こちらでも、やはり今年から来年にかけて「総合書籍市場」は回復し、2016年には1兆円を突破します。2018年には1兆61億円。これは1998年とほぼ同額です。
どうでしょうか? これでも「不況」と言えますか?
少なくとも書籍に関しては、国際的な基準(紙+電子)で見た場合、極端な話、「出版不況」は終わった、とさえ主張することもできる、ということは理解していただけたのではないでしょうか?
ここまでは「書籍」の話。書籍以上に不振が伝えられる「雑誌」についてはどうでしょうか? まず、紙の雑誌について、「出版年鑑」のデータを見てみましょう。
絵に描いたような山型ですね。こちらは1995年の1兆5980億円をピークに、現在までダダ下がりが続いています。2013年の売上は9280億円。これは最盛期の58%。確かに、激減といってもいいくらいの落ち込みです。
とはいえ、こちらも紙だけの統計。さきほどの書籍と同じように、2002年以降の平均減少率(-3.6%)で今後の予測数値を出すとともに、さらに電子雑誌の推計と合算(紙+電子=「総合雑誌」)、「総合書籍」と合計して「総合出版市場」の数字を計算してみると、以下のようになります。
本だけの時と違って、こちらのグラフは「右肩上がり」というわけにはいきませんが、ゆるやかな回復を見せています。
いかがでしょうか? 少なくとも、数字で見る限り、「出口の見えない出版不況」というイメージとは少し違うのではないでしょうか?
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