メディアで取りあげてもらったり、広告をたくさん打ったりすれば、大勢の人に見てもらえて、ヒットにつながると考えるのは、今の時代には短絡的すぎるようだ。もちろん広告の力が完全に失われたわけではないが、もはや、ただ「広告で見た」だけでは、人は行動しなくなっている。そのことを、物を売ろうとする人や企業は、知っておかなければいけない。
本書では、広告やメディアで人を動かすことをあきらめきれない人に対して、冒頭から手厳しい言葉を投げかける。実際、その言葉を無視して従来型の広告戦略で突っ走ったとしても、結果は伴わないだろう。だからといって、やみくもに「今はやっているようだから」とソーシャルメディアに手を広げればいいわけでもない。自分たちが売ろうとしているモノに最適な方法は何かを、慎重に検討する必要がある。
本書の構成が面白いのは、人を動かそうとするときの手法別に解説を並べているのではなく、動かしたい人数に応じて適した方法は何だろうかという考察を、さまざまな実例を通して示していく点にある。過去に成功した手法が、そのまま通用するわけではないだろうが、参考にはなる。注目すべきポイントが完結にまとめられている上、本文にも、重要な箇所にはハイライトが引かれているので、時間のない人でも読みやすい。
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