日本で培ったスキルが東南アジアで花開く--トレンドマイクロの松本彩さん - (page 2)

国で異なる「刺さる営業トーク」

――シンガポールでの仕事内容について教えて下さい。

 当社が東南アジアで進出している各拠点のうち、主にシンガポールとタイで抱える日系パートナーと新規ビジネスの創出を担当しています。顧客は主に日系のIT企業で、彼らが提供するソリューションに当社のセキュリティを付加価値としてエンドユーザーに提供できるよう、販売体制やサービス作り、共同でのセミナーイベントの運営などを行っています。シンガポール以外でのビジネスも担当しており、1カ月のうちの3分の1は、各拠点に出張しています。

――赴任までにシンガポールを訪れたことはありましたか。

 ありませんでしたが、実際赴任してみると、シンガポールでよかったと思います。日本は成熟した市場ですので、顧客企業からはコスト効率を求める声が多く聞かれます。それはもちろん大切なことなのですが、一方、こちらは成長市場。ビジネスを伸ばすため、IT投資に対する意欲が高い企業がたくさんあります。やはり景気がよく、企業もチャレンジして成長していく市場で働けることはやり甲斐を感じられます。


松本さんが働くオフィスからは観覧車「シンガポール・フライヤー」が望める

――国によって製品の売り方も変わるのですか。

 はい。販路開拓も私の役割の1つなのですが、シンガポールとそれ以外の国では相手に響くマーケティングメッセージが違います。例えば、当社にはネットワークを監視する製品があるのですがこれをどう売るか。シンガポールには金融業や東南アジアの統括機能が多く集まることもあり、「サイバー攻撃対策」として提案することが多いです。

 しかし、製造業の多い周辺国で同じ売り文句を使うと「サイバー攻撃?停電でビジネスが止まることもあるにそれどころではないよ」と言われることもあります。ですから、例えばタイやインドネシアでは「1日数億円という損失を出す、セキュリティ対策の不備による工場の稼働停止を未然に防ぎましょう」といった具合になります。

――非常にユニークなスキルですね。

 グローバルで統一したソリューションを提供しつつも、それぞれのマーケットにあった提案を考えるのはとても楽しいです。ただ、私のまわりの女性たちは自分のユニークさを忘れさせてくれるほどパワフルです。日本でIT業界というと男性が多いイメージがありますが、こちらはメイドに子どもを預けてバリバリ仕事をする女性は珍しくありませんし、マネジメント層にも女性が多いです。

オフの日はシンガポールの好景気を満喫

――オフの日はなにをしていますか。

 週末はハブ空港というシンガポールの立地を活かした旅行や国内外のゴルフ、BBQ、夜にはクラブに出かけたりもします。友人の数は日本人とローカルや他国籍の人で半分ずつぐらいです。

――現地の生活にとけ込んでいますね。

 バックパッカーの経験から、自分が過ごしてきたそれまでとは異なる環境に飛びこむことには慣れていますし、他国の人の文化を尊重するよう、常に心がけています。例えば、日本で接待といえば飲み会ですが、シンガポールではお客様との距離を縮めるために、夕方に集合してランニングした後に屋台で食事をすることもあります。マレー系の人とはテータリックというマレーシアのミルクティを飲みながら商談することもあります。

 タイでは、英語のイントネーションをタイ語風に発音したり、語尾に尊敬の意味を表す「カー」をつけたりすると打ち解けやすくなります。あと、イスラム系のお客様がラマダン(断食)の時期には、彼らが疲れやすい時間帯には打合せの予定を入れないよう配慮しています。

――現地ならではのオフの楽しみ方はありますか。

 時々、女性の友人で集まって、レディースデーにホテルのバーや夜景のきれいなバーに繰り出します。私たちの世代は日本で「バブル」というものを経験していませんが、シンガポールは好景気。仲間内では、「バブルってこんな感じだったのかな」と想像しています。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]