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Hulu×日テレの先行配信に見る放送と通信の“勝ちパターン”とは

加納恵 (編集部)2014年08月19日 10時00分
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 4月に日本市場向け事業を日本テレビ放送網へと承継し、HJホールディングスとして新たなスタートを切ったHulu。テレビ局と動画配信事業者という、ある意味ライバルとも言える2社が手を組み、どんな新しいビジネスを生み出すのかは注目されている。その1つの答えとも言うべき取り組みが7月から開始された、先行配信だ。

 今までの常識では考えられなかった1週間の先行配信がなぜ実現したのか。そこには両社のどんな狙いがあるのか。日本テレビ放送網のインターネット事業局インターネット事業部担当部次長の山川洋平氏と、HJホールディングス コンテンツ&エンゲージメント部コンテンツアクイジション シニアマネージャーの加藤雅弘氏に聞いた。


HJホールディングス コンテンツ&エンゲージメント部コンテンツアクイジション シニアマネージャーの加藤雅弘氏と日本テレビ放送網のインターネット事業局インターネット事業部担当部次長の山川洋平氏

“現場主導”だからこそ実現した先行配信

--7月からバラエティ番組「ネリさまぁ~ず」の先行配信が開始されました。反響はいかがでしょうか。

 加藤氏 :1週間前に配信する、その部分だけでもかなりのインパクトはありますし、たくさんの方に見ていただけている状況です。もちろんHuluとしては会員増を狙っていますが、先行配信で見た人がツイートなどで拡散をしていただいて、そのツイートを見た方たちがテレビ放送を見て、という循環が生み出されているように思います。

 山川氏 :配信されてしまったら、視聴率が下がる懸念ももちろんありますが、実際ネリさまぁ~ずを放送している1都6県の視聴者約4000万人すべての人が先行配信で見てくださるわけではないですし、逆にテレビで見られなかった方にも見てもらえる機会が増えた、コンテンツの露出が増えた、と私はポジティブに捉えています(笑)。

--テレビ番組の先行配信は前例がありますか。

 加藤氏 :正確にデータはありませんが、初めての試みだと思います。米国Huluでは生中継を同時配信したなどの例があります。

 山川氏 :もちろん日本テレビでも初めての取り組みなのですが、実現できたのは現場サイドからでてきたアイデアという部分が大きいですね。実は、さまぁ~ずのお二人に日本テレビでレギュラー番組を持っていただくのは初めてで、ならば面白いこと、新しいことに取り組みたいという意向が現場主導で出てきました。

 ネリさまぁ~ずは、毎週土曜日の深夜1時20分から1時50分の深夜番組ですし、放送も関東ローカルのみです。時間帯も放送エリアもかなり自由度の高い番組制作ができる中で、さらに新しい試みとして先行配信にトライさせていただきました。

 加藤氏 :関東ローカルの番組なので、放送されていない地方の方たちにもHuluを通してご覧いただけているようです。

 山川氏 :全国一律で届けられるのは配信事業の強みですよね。日本テレビの放送エリアは関東のみなので、その他の地域で見ていただくには番組販売といって、各局に番組を買っていただかなければなりません。極端なことを言えば、今回は番組販売とは異なる手法で全国の人にリーチしています。

  • 日本テレビでの放送1週間前にHuluで最新話を配信しているバラエティ「ネリさまぁ~ず」

--現場主導だったからこそ実現できた先行配信だと。1週間の先行配信期間はどうやって決められたのでしょう。

 山川氏 :現場発意でなければ難しかったと思います。番組の企画段階から出演者側に理解を得られたことも大きかったですね。番組は毎回ゲストの方にも出演していただいていますが、事前に了承いただいていますし、そのほかの権利関係の調整も現場のスタッフにがんばってもらっています。

 先行する配信期間については放送前1時間など、いろいろと案があったのですが、テレビ放送が終わり次週の予告が流れる、それをすぐにHuluで見ていただけるのが一番視聴者にとって歓迎されるのでは、と思ったからです。

 テレビ番組内では先行配信の告知もしていますから最大のPRをテレビ放送がしているわけです。次週の放送はもちろん、途中から番組を見た方もHuluで今週の放送をもう一度視聴されるかもしれない。そう考えた時に、最も視聴者にとって利便性がよいのは、1週間前だろうと考えました。

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