“働き方の、これから。―Transforming Work”をテーマに7月30~31日に開催された、Google主催のイベント「Google Atmosphere Tokyo 2014」。初日となる30日には、グーグル執行役員CMOアジア太平洋地域Googleブランドディレクター Women@Google Japan Chapter チェアの岩村水樹氏による「Work Smart, Innovate More, Live Happier/テクノロジーが女性のためにできること」と題したフォーラムが行われた。
Googleが提案する“Work Smart”というキーワードをもとに、テクノロジを活用したフレキシブルで新たなワークスタイルの事例と、それによる幸福度の効果などについてのレポートが紹介された。
第1子出産後に60%が退職するとされる日本の女性労働者。これを社会の大きな損失だと語る岩村氏は、その原因を次のように語った。
「世界一睡眠時間が短いとされる日本の女性は世界一忙しいと言っても過言ではない。その大元となる原因は男性の長時間労働にある。そのしわ寄せが女性の過度な家事、育児負担となり、出産後に働き続けることができない」
また、世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数のランキングでは、日本は135カ国中105位と経済活動に参加する女性の割合が極端に低いデータを紹介。「30代は管理職として力を発揮できる世代。出産を機に辞めてしまう女性を減らすためには働き方を変えること」と強調し、“Work HardからWork Smartへ”と仕事への接し方の転換を提言した。
イベントが開催された当日、Googleが新たに起ち上げたのが「Work Smart, Live Happy」サイトだ。キャッチフレーズは“テクノロジーが女性のためにできること”。結婚や出産、介護などを両立しながら、女性が働き続けられるような生き方や職場環境について、先進企業の事例などのデータやインタビュー、Googleのツールを活かしながらスマートな働き方をしているGoogle社員のケーススタディなどが紹介されている。
日本だけでなく、世界各国でテクノロジによる女性支援に取り組んでいるGoogleだが、課題は国によって異なるという。岩村氏によると、日本における課題は「働き方を変えること」。具体的には、多様なバックグラウンドの人材がテクノロジを活用し、時間や場所に囚われず働き続けるようにしていくことだという。それにより現在は働いていない女性の77%の復職が可能になり、出産後に退職が見込まれる女性の62%が働き続けられると見積もられ、その効果は1000万人規模だと岩村氏は期待を込める。
また、Googleが提唱するWork Smartを活用して働く女性は仕事以外の満足度も高いという調査結果が出ている。活用度合としてはまだ限定的な状況下としながらも、働く意欲がプラス9.9%、サステナビリティがプラス8.1%、幸福度がプラス7.4%と、高い効果を示していることを明らかにした。
一方、テクノロジの活用を徹底させるためには、企業文化や制度の変革が不可欠と語る岩村氏。「テクノロジによるイノベーションが人々の生活や世界をよくする大きな可能性を信じている」というGoogleの根底にある企業精神が、イノベーションをリードするのはダイバーシティーであるという考えへと結びつき、その一環として多様な働き方を推進する企業風土に発展していると説明した。
そのためGoogleでは“働く環境・カルチャー”、“人事制度・評価システム”、“ITツール/テクノロジー”の3本柱でWork Smartのためのさまざまなサポートが取られているという。働く環境・カルチャーとしては、社員同士のサポートグループやクラブ活動などを積極的に推進している。
また、人事制度・評価システムにおいては、成果応酬型の人事評価制度を採用し、目標設定に対する到達度を評価するほか、管理職は部下の健康や幸福度の状況も評価の対象にする制度などが採り入れられているとのことだ。
さらに、ITツール/テクノロジーの面において実施しているのは次のポイント。
この5つを軸に社員に対して十分に支援していることを紹介した。
このほか、Googleの社員がハングアウトによるテレビ会議などと連携し、Google Docsを使って遠隔地からスライドを共同編集作業しているデモンストレーションなども行われた。
Googleのテクノロジがサポートする、結婚、出産後も働き続ける女性のためのソリューション。具体策に乏しい戦略やスローガンだけの女性支援よりも、より現実的かつ実用的で、より多くの女性がこれを活用し、社会参画への基礎を築いてほしい。
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