さて、そうはいっても市販の映画やアニメをそのまま無断アップして稼ごうとするなど、悪質な違法動画もまだまだ多いのが実情です。違法動画の場合、何万回再生されて見られても、元の作家にも映像会社にもただの一銭の収入も入りません。これについても、YouTubeなどが権利者とも協議して対策を進めているところです。ただ中には、本当に違法アップなのか、権利者も黙認している動画なのか、区別がつかないものも少なくありません。
では、違法動画を見ると、見た人も著作権侵害になってしまうのか。これは大丈夫です。第8~10回でご紹介した著作権の「制限規定」はここにもあって、違法動画でも通常の視聴だけであれば基本的に著作権侵害にはあたらないとされています(47条の8)。
とはいえ、悪質な海賊版だと承知しながら見て楽しむのは、あまりお勧めはできない行為です。また、適法なのはダウンロードを伴わない場合の話です。違法アップだと知りながら、動画を録画・録音すると、たとえ個人的に楽しむためでも著作権侵害になるので、要注意です。第8回でご紹介した、「ダウンロード違法化」ですね。
という訳でルールを守りつつ、楽しい夏をお過ごしください。筆者が仕事をしている間に。
(続きは次回)
レビューテスト(12):あくまでラフですが、今日のまとめの表です。空白を埋めてみましょう。正解は本文を参照!
1991年 東京大学法学部卒。1993年 弁護士登録。米国コロンビア大学法学修士課程修了(セゾン文化財団スカラシップ)など経て、現在、骨董通り法律事務所 代表パートナー。
著書に「著作権とは何か」「著作権の世紀」(共に集英社新書)、「エンタテインメントと著作権」全4巻(編者、CRIC)、「契約の教科書」(文春新書)、「『ネットの自由』vs. 著作権」(光文社新書)ほか。
専門は著作権法・芸術文化法。クライアントには各ジャンルのクリエイター、出版社、プロダクション、音楽レーベル、劇団など多数。
国会図書館審議会・文化庁ほか委員、「本の未来基金」ほか理事、think C世話人、東京芸術大学兼任講師などを務める。Twitter: @fukuikensaku
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