こうしたことで爆発的に流行したもののひとつがボカロ動画ですね。先ほどの包括契約がありますから既存曲を使っても作れますし、そもそもボカロ曲を自ら作曲してアップする人も増えました。下記はニコ動歴代8位の780万再生超、もはや古典といえる「千本桜」(黒うさP)です。
そしてこのボカロを中心に、二次創作といわれる文化が花開いたのも投稿サイトの一大特徴でしょう。「千本桜」でいえば、2011年のオリジナル版のアップから24時間以内には、早くもその動画やボカロ音声を利用した「踊ってみた」「歌ってみた」が登場しています。
その後続々と増えて、誰かが踊った「千本桜」動画の振付をさらに流用して、MMDという3DCGソフトで戦国武将に踊らせた「毛利で千本桜」なんて、二次創作の二次創作も登場します。さらには神業と称された「千本桜を定規で弾いてみた」なんていうのもあって、現在、「千本桜(黒うさP)」のタグがある関連動画は実に8500本以上存在します。
前述の通り動画サイトで自由にアップできるのは基本的に歌詞・メロディなので、例えば録画したTV番組やマンガをスキャンしたものなどをアップすれば違法です。ただボカロは、少なくともニコ動上では動画など含めてお互いに流用自由という慣行がかなり確立されていて、(無論限界はある訳ですが)こういう二次創作が花開く土壌になった訳ですね。
もっとも、これはあくまで特定分野での話であって、どんな動画サイトにもあてはまる訳ではありません。たとえば「MAD」と言われる分野があります。既存の映画などのシーンを利用して二次創作したパロディ動画などを広く指しますが、ご覧いただいているのは極めて人気の高い「総統閣下シリーズ」です。元になったのは、ブルーノ・ガンツというドイツの名優が主演した「ヒトラー ~最後の12日間~」という2004年の映画。その中で第二次大戦終幕に追い詰められたドイツの独裁者ヒトラーが、部下たちの前で激高するシーンがあって、まさに鬼気迫る名演なのです。あまりのシーンの見事さに、それに勝手に全然違う字幕を付けるMADが世界的に広がりました。
下記は、モーオタである総統閣下がモー娘。の紅白連続落選の報に激怒するシーンで、最近では白眉の作品です。(この辺り、筆者も加わった「インターネットビジネスの著作権とルール」(CRIC)という最近の書籍に、池村聡弁護士の詳しい解説がありますのでご覧ください。
こうしたMAD辺りはボカロ動画のような慣行もなく、当然著作権の問題をはらんでいて、ある種独特のグレー領域が花開いている箇所です。後で「パロディ・二次創作」の回で詳しく説明しましょう。
しかし「歌ってみた」「弾いてみた」のように堂々とおこなえる動画アップもありますので、皆さんも注意点には気をくばりつつ、この夏は挑戦してみてはどうでしょうか。
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