18歳からの著作権入門

動画サイトの楽しみ方 ~違法動画を見たら犯罪?「歌ってみた」「踊ってみた」は?

福井健策(弁護士・日本大学芸術学部 客員教授)2014年08月01日 11時00分
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 夏休みである。膨大な時間を利用して部屋に引きこもりジャンクフードにまみれて動画サイトを1日中見続ける者もいるだろう。青春だ。合宿で海や山に繰り出してひと夏の思い出を収めた人が見ても何が楽しいのかさっぱりわからない動画をアップしまくる者もいるだろう。青春なのだ。

 ……筆者ですか?もちろん仕事です。大人になればなるほど夏休みの時間は短くなります。やがて永遠の夏休みが来るまで。という訳で怨念にまみれた「18歳からの著作権」第12回。今日は動画サイトの楽しみ方をお届けします。もちろん、おもしろ動画の探し方なんて読者の方が詳しいでしょうから、あくまで著作権の面から見た「楽しみ方」になります。

動画サイトの隆盛

 さて、変わらぬ人気を誇る動画投稿サイト。その代表格である「YouTube」は、世界のあらゆるネットサイトの中でアクセス数は不動の第3位。もうこれより上はグーグルとFacebookしかありません。今や1日40億ページビュー(!)以上をほこり、次々投稿される動画は1分あたり実に100時間分。2時間の映画に換算するなら、1年間で2628万本分の新作映画が増えている計算という、世界最大の映像アーカイブです。あるいは日本の誇る「ニコニコ動画」は、今やオタク文化の聖地にして巨大プラットフォームに成長しました。

 もっともこうした動画サイト。当初の評判は決して芳しいものではありませんでした。というのも、YouTube成長の原動力は、ユーザーがテレビ番組を録画してこぞってアップしたことだったからです。よって最初は著作権侵害の代名詞のように言われました。いや、YouTubeやニコ動こそ侵害対策を相当に進めていますが、今でも実質は違法サイトとしか言いようがない動画サービスは多いでしょう。当然、時には逮捕者も出ます。一方、(ほぼ)適法な動画で数十万といったアクセス数を稼ぎ、動画投稿による広告収入だけで生活しているHIKAKINなどのYouTuberも出現しています。

◇HIKAKIN「アナと雪の女王 レットイットゴー」


「歌ってみた」「弾いてみた」はOKなのか?

 いや待て待て。待てって。これ「アナ雪」じゃないですか。そういえば人気の「歌ってみた」「弾いてみた」ですが、たいていは人の曲を無断でネットにアップしてますね。上記のHIKAKIN動画なんて、音楽以前の問題も左下あたりにある気がしますが(笑)、著作権侵害ではないのか?動画を投稿しようと思う人が、最初にぶつかる疑問のひとつでしょう。

 実はこれ、曲については出来ます。JASRAC(日本音楽著作権協会)という団体名は聞いたことがありますね。次回詳しく紹介しますが、国内外のプロの曲のほとんどの著作権を管理して、侵害も取り締まる硬派な団体です。実はこのJASRACなどの著作権管理団体とYouTubeやニコ動のような主要な動画サイトは、「年間包括契約」というものを交わしています。例えば、個人がアップする広告以外の動画にはどの曲でも使っても良いという、包括の許可をもらっているのですね。料金は、動画サイトが収入の一部を収める形です。

 ただし注意点があって、この許可の対象は基本的に歌詞と楽曲(メロディ)なのです。CDなど、それを第三者が歌ったり演奏した「音源」を使う場合、レコード会社などが「著作隣接権」という別な権利(業界的には原盤権なんて言います)を持っていて、ネットで流すならその許可もいります。ニコニコ動画などでは、エイベックスやユニバーサルなどの一定の音源も許可なく投稿に使えるようになっています。もちろん、自ら演奏するとか、アカペラとか、DTMやボーカロイドで作った音源などはまさに大手を振ってアップできる訳です。「踊ってみた」も、自分達の音源に自分達の振付で踊るものなどは完全に適法にできます。

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