3Dプリンタを使ってフィギュアを自作する子ども向けのワークショップが7月26日、オフィス24スタジオ(東京・新宿)で開催された。4組の親子が参加し、iPadの画面に指で線を描くだけで3Dモデルが作れるアプリ「Sunny 3D」で作成したデータを、スタジオ内の業務用3Dプリンタからフィギュアとして出力した。
ワークショップを企画したのは、Sunny 3Dを提供するイーフロンティアのプロデューサー坂口秀之氏と、3Dツールを活用した新事業の企画などを手掛けるケイズデザインラボのクリエイティブプランナー関口鮎氏。「Sunny 3Dを使って3Dモデルを簡単に作れる体験イベントができないか」と坂口氏が関口氏に相談し、さらにオフィス24スタジオ店長の新村雅彦氏の協力を得て実現した。
ワークショップは8~13歳までの児童を対象に応募を受け付け、2回にわけて実施。1回目はSunny 3Dを使った3Dモデル作りや、ゲーム形式で「3D」の技術や知識が学べる講座を開いた。その2回目となる今回は、3Dプリンタからデータを出力したほか、新村氏がスタジオ内の設備を紹介した。子ども達は「自分で描いたものが形になってびっくりした」「難しかったけれど楽しかった」と満足気だ。
「これまでも月に一度のペースで、中学校などからの相談を受けて講座などを開いていた」と坂口氏。今回は、関口氏と話し合う中で、子ども達の夏休みの自由研究にも活用できるイベントを思いついた。「子ども達が自分で3Dプリンタからフィギュアを取り出す」という内容は新村氏の案という。
「一般的な3Dモデル作成ソフトは操作が難しく、プロでなければ扱えない。Sunny 3Dはタブレットを使って指で適当に描いても、画面上で目に見えるリアクションがある。今回のイベントで、子どもたちにも楽しさがわかってもらえたように感じた」(坂口氏)。3Dプリンタや3DCGを活用した教育を推進するため、今後も積極的にワークショップを実施していくという。
「『データ』と『実物』を相互に行き来できるようになることは、“教科書で見る”がベースの教育から、『触る』に近しいものの覚えさせ方ができたり、共有データを各自がいじってカタチを変えたりできるなど、『吸収』のさせ方が変わる。学校の先生の中にも、3Dを教育に活かそうと考えている人がいる。教育機関に動いてもらうために、今は多くの事例をつくりたい」(坂口氏)。
3Dプリンタをめぐっては、殺傷能力のある拳銃を製造・所持していたとして大学職員が銃刀法違反容疑で逮捕されたり、漫画家のろくでなし子氏がわいせつ電磁的記録頒布容疑で逮捕されたりなどしており、ネガティブなイメージが広がっている。しかし一方では、ハードウェアを扱うスタートアップ企業が安価に試作品を制作できるなど、良い影響もある。
より多くの子ども達に“ものづくり”の楽しさを伝えるため、3Dプリンタ関連企業の挑戦は続く。
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