PCからスマートフォンへと主戦場が移り、大きく変わったことの1つがニュースの取得方法だろう。PC時代は多くの人が、「Yahoo! ニュース」を閲覧していたが、スマートフォン時代にはメディア各社のニュースを束ねるキュレーションアプリが次々と登場し急成長している。
福岡で7月17~18日に開催されたイベント「B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka」で、主要ニュースアプリである「Gunosy」「SmartNews」「Antenna」「NewsPicks」の各代表が登壇し、「スマホニュースメディアの勝者は誰か?」と題したパネルディスカッションで、それぞれの戦略やニュース市場の今後について語った。なお、スマートニュースの鈴木健氏は飛び入りでの参加となった。
GunosyとSmartNewsは、タブを切り替えながら政治やスポーツ、エンタメなど幅広いジャンルのニュースを網羅的に閲覧できるアプリだ。Gunosyは当初、個々の嗜好にあったニュースを配信していたが、2014年に現在のモデルに方針を転換。SmartNewsを意識したユーザーインターフェースへと刷新した。
さらに、3月にKDDIから調達した資金をテレビCMなどのプロモーションに投下し続け、ダウンロード数を3カ月で180万から400万以上に急拡大させた。Gunosy代表取締役社長の木村新司氏は、「僕らは負けていたので踏み込むのは当然。3月時点ではSmartNewsとダブルスコアだったが今は並んだか、抜いている。これからは違う部分での勝負」と語る。
続いてスマートニュース代表取締役会長の鈴木氏は、現在のウェブニュース領域について持論を展開。「何千万人が読むメディアは政治的影響力がある」という理由から、ヤフーのように1社が独占する状況は健全ではないと話し、複数のメディアが併存すべきだと語る。
これにはGunosyの木村氏も同意。また「ニュースキュレーションアプリが意見を持ち始めると“色”がついてしまう。Gunosyでは記者を抱えて意見を出すことはやりたくない」と続けた。スマートニュースの鈴木氏もすぐに独自記事などを用意するつもりはないという。
経済ニュースに特化したNewsPicksを運営するユーザーベース代表取締役の梅田優祐氏は、この2社とは異なる考えだ。これまで配信していたメディア各社の記事に加えて、新設する編集部による独自記事を9月から提供することを明らかにしている。編集長として、東洋経済オンラインの元編集長である佐々木紀彦氏を招聘した。
梅田氏は「今後のニュースアプリは同じようなインターフェースに収れんし、1~2社しか生き残らない」と予想。最終的にはプラットフォームからコンテンツへの戦いに移行すると語り、長い目で見れば、独自コンテンツが差別化の鍵になるとした。
女性向けの情報を中心に揃えるキュレーションマガジンAntennaも、メディア各社の記事がメインとしながらも独自コンテンツを提供している。各地のキュレーターが47都道府県の観光情報などを配信する「ヨンナナch.」だ。サービスを運営するグライダーアソシエイツ取締役COOの町野健氏は、「雑誌は都心の情報が中心」であることから、地方の情報を補完する同コンテンツは「非常に好評だ」と手応えを語った。
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