格安スマホに向けサービスを提供しているMVNOは、その多くがドコモの回線を利用しているため、基本的なサービス内容に大きな差は出ない。だが格安スマホの場合、割引なしでの低価格を実現するため端末性能が低く、ネットワークも3Gのみ対応というケースも少なくない。そのためBIGLOBEスマホのようにLTE通信対応で価値を高める、あるいはイオンスマホのように、3Gのみ対応ながらその分コストを下げるなどして、差別化を図る例も多いようだ。
また、既存キャリアと同様一定の容量を使い切るまで高速通信が利用できる(ビッグローブなど)、利用シーンに応じて高速通信と低速通信を切り替えながら使用する(IIJなど)、高速通信をする時だけ追加で容量を購入する(日本通信など)という具合に、高速通信の仕組みと高速通信可能な容量の部分で、独自性を打ち出し差別化を図るケースも多く見られる。
MVNOがデータ通信部分による差別化を進める一方で、音声通話に関しては差別化が難しいためか、ほとんどの事業者が通話料を30秒20円に設定しているようだ。そのせいか、これまでMVNO各社は音声通話サービスの提供に対し非常に消極的で、「050」の番号で利用するIP電話に力を入れる事業者が多かった。しかし最近では、データ通信端末より獲得ボリュームが大きいスマートフォンに向けたサービスを提供する上で、音声通話が不可欠と判断した事業者が増えているようだ。
もっとも、現在でも従来型の音声通話は必要ないとして、データ通信にのみ注力している事業者も多い。最近ドコモの回線を借り、MVNOへの参入を発表したワイヤレスゲートがその際たる例といえるだろう。同社が9月にサービスを開始する、Wi-FiサービスとLTE通信をセットにした「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIM」は音声通話の機能を用意せず、外出先でも公衆Wi-Fiスポットの利用を主として、移動中に通信がしたい時だけLTEを使用する仕組みとするなど、データ通信に注力している。
またもう1つ、MVNOの差別化戦略として注目されているのが、関西で光による固定ブロードバンドサービスを提供しているケイ・オプティコムだ。同社が提供するMVNOサービス「mineo」は、他の事業者が利用しているドコモの回線ではなく、KDDI(au)の回線を使用している。auの回線はドコモより卸売の価格が高いため、料金面で不利な部分があると見られるが、LTEによる高速通信が可能なスマートフォンをセット販売するなどして、独自の優位性を打ち出しているようだ。
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