大企業に眠る「人」と「技術」を呼び覚ます--経産省が製造業系の起業支援 - (page 2)

大企業には3割近くの「知財」が眠っている

 ところで、大手メーカーで経験を積み、開発環境や給与面での待遇も良い研究者や技術者が、あえてベンチャー企業を立ち上げたいと思うのだろうか。この疑問に対し武尾氏は、「大企業には3割近くの『知財』が眠っていると聞く。その中には、市場が小さく大企業はリスクを感じてやらないものもあるが、そうした技術を世の中に役立てたいと思っている人は潜在的にはいる」と説明する。

 そこで、人材集めのパートナーとして白羽の矢が立ったのがビズリーチだ。管理職・グローバル人材に特化した転職・求人情報を掲載する「ビズリーチ」に、NEDOのベンチャー支援事業の特設ベージを設け、30万人以上の会員に訴求する。ビズリーチが会員に実施した調査によると、「将来起業する意思があるか」という質問に対し、36%が「非常にある」、40%が「ややある」と答えたそうだ。

 ビズリーチ代表取締役 CEOの南 壮一郎氏は、「ビズリーチでは大手メーカーから地方の中小メーカーに転職する40~50代が増えている。大企業で働いてある程度経験を積むと管理職になってくる。また、日本のメーカーは業績も落ちてきて新プロジェクトには後ろ向きで、中々アサインされない」と説明。こうした理由から「もう一度残りのキャリアを活かして再チャレンジしたいと思い転職を選ぶ人が多い」と語る。

  • NEDOの役割

 NEDOでは、今回のプロジェクトによって、本当の意味で成果が出てくるのは10~20年後になると見ている。NEDOでイノベーション推進部 プラットフォームグループ 主幹を務める吉岡恒氏は、優れたベンチャー企業との連携なども視野に入れているという。「将来的にはNEDOのナショナルプロジェクトの中核をを担ってくれると嬉しい」(吉岡氏)。

 武尾氏は「日本でもベンチャー企業への注目度は日々高まっている。政府としても一生懸命大きな流れにしていかなければいけない。ぜひ次世代の日本を自分の手で作りたい人に集まっていただきたい」と意気込みを語った。

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