ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアは、PS Vita用ソフト「俺の屍を越えてゆけ2」を、7月17日に発売した。
本作は、1999年6月17日にプレイステーション用ソフトとして発売された「俺の屍を越えてゆけ」、通称「俺屍」(おれしか)の続編タイトルだ。わずか2年で寿命が尽きてしまう“短命(たんめい)の呪い”と、人との間に子をなせない“種絶(しゅぜつ)の呪い”の2つの呪いをかけられた主人公の一族が、神様と魂で交わる“交神(こうしん)の儀”によって子孫を残し、能力を受け継いで徐々に強くなっていく世代交代をテーマにしたRPGとなっている。
前作の発売以降、プレイしたユーザーから長年にわたって熱烈な支持を受け続けた。その後、PSP向けのリメイク版を2011年に発売。そして本作は、実に15年ぶりとなる新作となっている。ゲームデザインはマーズの桝田省治(ますだ しょうじ)氏、開発はアルファ・システム、キャラクターデザインに佐嶋真実(さじま まこと)さんと前作からのスタッフが引き続き担当。音楽は、前作を担当した樹原涼子(きはら りょうこ)さんの子息である樹原孝之介(きはら こうのすけ)氏が、シナリオは「サガ」シリーズ、「聖剣伝説」シリーズ、「ファイナルファンタジー」シリーズも手がけた実績を持つ生田美和(しょうだ みわ)さんが桝田氏とともに担当する。
短命の呪い、種絶の呪い、交神の儀といった、わずか2年ほどしか生きられない一族を描いた世代交代RPGというベースの部分は継承。本作では、天変地異で荒れ果てていく平安の都が舞台だ。天変地異を神の祟りと恐れた者たちが陰陽士(おんみょうし)の阿部晴明(あべのせいめい)を頼り、その企みによって人身御供の名のもとに帝に仕える武家一族が、一族郎党、女子どもまで無実の罪で極刑に処された上、短命と種絶の呪いをかけられる。川原に並べれられた一族の“されこうべ”の前に黄川人(きつと)と名乗る天界の使いが現れ、黄川人が連れてきた夜鳥子(ヌエコ)が、自らの命を使って死者を蘇らせる反魂の儀を行い一族を復活させる。阿部晴明への復讐と、短命と種絶の呪いを解くため一族は全国に散っていき、そこから物語が展開される。
プレイヤーごとに一族の成長や街の発展に違いが出ることが「俺屍」の魅力。さらに本作の特長として、ネットワークを活用し他のプレイヤーの国に遠征できるようになっている。例えば、自国とは違った発展をしている街の施設を利用したり、自国ではまだ交神の儀が行えない神様との交神、ほかのプレイヤーの一族と“結魂(けっこん)”して子を成すことや、他国の一族から養子を迎えたり傭兵として雇ったりできる。他プレイヤーとの交流を通じて、自分のゲームに他のプレイヤーのデータが介入してくるという点は、前作にはなかった魅力のひとつとなっている。
2013年9月にタイトルが発表された際、続編制作の経緯や、なぜ「俺屍」が長年愛されたタイトルであったかを桝田氏に聞いた。今回は発売を迎えた「俺屍2」についてと、桝田氏が考えるゲームの面白さについて聞いた。
ちゃんとユーザーの求めている、面白いものを作れたと思っています。
前作では序盤に何をやっていいかわからないという声が多かったため、今回コーちんの提案は力を入れました。死んで覚えていくような内容がつらいという声もあって、序盤はリセットを繰り返して進めるというプレイヤーも多かった。そこをなんとかしたかったんです。もうひとつ、迷宮探索に行ったときにコーちんも同行して、適時アドバイスをします。前作の、イツ花(前作でのナビゲーションキャラクター)の立ち位置ではできなかった。反応を見ている限り、コーちんについては評判がいいと感じています。
ゲームシステム編からは、コーちんの提案内容はずいぶん進化しています。装備の提案についても単純に数値だけを見た選択肢はとらないですし、交神で選ぶ神様についても、ユーザーにとってかなりお得な神様を選びます。
キャラクターとしても、ユーザーが望むであろうポイントを押さえに押さえまくったものにしているので、反応を見ている限り、狙い通りに受けていると思っています。
動きもいいでしょう。そのあたりはアルファ・システムのスタッフが頑張ってくれたおかげかと。なにより福圓さん(コーちん役の福圓美里さん)の、適当に見せてしまう演技もかなりいいですし、彼女じゃないとできないはまり役だと思います。
提出されたプロットがゲームの文脈にあっていたこと。それをそのまま使えるというものではなかったですが、スキルを測るには十分でした。ほかの方はシナリオなり設定なりキャラクターなりが面白いというのはありましたけど、ゲームとしての落としどころが見えてなくて……。小説でいうと、裏表紙に書いている設定は面白いけど、実際読んでみたら面白かったのはそこだけだったという感覚です。仕事を一緒にやる上ではある程度力量が見えないとリスクも大きいですから。
それが一番の理由ですが、加えるなら女性で、なおかつお子さんがいることも大きかった。男性である僕にはない視点を期待したところもありますし、女性でもお子さんがいるかどうかで視点は違います。やはり母親の視点になるんですよね。それは僕に持ち得ないものなので、新しい風を入れられればと。
僕が推薦したんですけど、親子だからというよりも彼自身が「俺屍」を相当やりこんでいるので、前作の気に入っているトーンは継承しつつ、彼自身のオリジナリティも入れ込んだものになって、いいバランスの音楽になりました。
リメイク版で新曲を彼に編曲してもらいましたが、すごくセンスがいい。こちらの要望に対する的確な提案や幅の広さは、素人のレベルではなかったです。もともと子どもの頃から知っているというのはありますけど、いつか一緒に仕事をしたら面白いかなと感じていたんです。それでも今回は半分ぐらい任せられれば御の字かなと思ったんですけど、最終的には全部お願いする形になりました。
曲は単純な旋律の繰り返しがいいということと、詩については日本の景色や季節の話をしているようで、人間の世代交代の話をしているように伝わればいいという話はしました。
実は……フルバージョンを聴いていただけるとわかると思うのですが、オープニングトレーラーで流れる曲は、前半が1番でサビの部分が3番という変わったことをしてます。言われたとおり、3番のサビに「花」というワードがあるので、前作の主題歌と重ねて見てくれる人がいるだろうからと、むちゃなお願いをしました(笑)。
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