個人で楽しむためのダビング・ダウンロードはどこまでOKか

福井健策(弁護士・日本大学芸術学部 客員教授)2014年07月04日 11時00分

 こんにちは。連載を始めてから1週間が経つのが早く、締め切りの木曜は嫌いな日になりました。いったい誰が、こんな連載思いついたのでしょうか。自分です。

 さて、著作権の基礎知識と「どこまで似れば盗作か?」が終わりました(バックナンバーはこちら)。今週からいよいよ実践編です。ここまでは「こういう使い方をすると違法です」の知識が中心でしたが、これからしばらく「こうならば使えます」の話が続きます。教科書でもQ&Aでも、たいていこの部分が薄いのですが、「違法です」と同じくらい大事なパートです。最初は本丸中の本丸、「個人で楽しむために音楽や映像をコピー(複製)すること」です。

 皆さんは、好きなTV番組を昼間のうちに録画しておいて、夜になると見るということをしますね。あれは、なぜ出来るのでしょうか。TV番組はたいてい著作物です。そして録画は複製だと書きましたね。であれば無断でできないはずです。しかしだからといって、数百万人のユーザーが「今日のあのドラマ録画したいんですけど」とTV局に電話してきたら、TV局だってかえって大変です。そもそも、TV局にも単独でそれを許可する権限はなかったりします。「えーと、あのタレントは許可出るかなー。聞いてみますね」なんて、やってられません。そもそも、こういう個人的な録画を禁止しても、それでTV局がどれだけ得をするかも不明です。

 著作権法では、著作権の原則通りに通させるとかえって世の中が混乱しそうな場合に、特に許可なく著作物を利用して良い例外を定めています。これを「制限規定」といいます。個人的な楽しみのための録音や録画はその典型で、「私的使用のための複製」(私的複製)と呼ばれ、無許可で出来ることになっています。

私的複製でできること、できないこと

 条件はけっこう厳格で、(1)個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲で使うために、(2)使用する本人が、コピー・写真撮影・録音・録画などできるのですね(いくつか細かい例外がありますが省略)。つまり非常に親密な範囲内での、小規模な使用が目的でないといけません。いくつか無許可で出来る場合の例を挙げてみましょう。

【1】父親に頼まれて、スポーツ中継を録画してDVD-Rに焼いてあげた ⇒○
【2】数名の趣味のサークル内で一緒に楽しむために、小説や音楽をコピーした ⇒○
【3】自分のカバンやスマホに、好きなキャラの絵を描いた ⇒○
【4】会社で参考資料として新聞記事をコピーした ⇒企業活動のためのコピーは恐らく☓

 この辺りは想像がつきますね。許されるのは複製なので、たとえば【5】個人のブログに何かをアップするような「公衆送信」(第5回)は対象外です。少なくとも私的複製としては許されません。逆に、私的な使用のためならば翻案も許されるので、【6】少人数のサークルでお互いに見せ合うために漫画のパロディを描くのは、著作権的にはOKです。

 そして気をつけたいのは、コピーする作品の入手経路は基本的に問わないのですね。ですから【7】友達から借りたコミックのコピーでも、レンタル店で借りたCDのダビングでも、基本的にはOKになります。

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