いまだ過渡期と言えるIoTが、これから10年後20年後にはどのような展開を見せていくのだろうか。杉氏は、IoTのサービス活用や展開に関して、4つのフェーズを示した。
まず1つ目が「効率化活用」だ。機器管理基盤やメンテナンスサービス、プロセス効率化などがこの分類だ。2つ目が「付加価値提案」だ。データをもとにした顧客接点基盤の構築、マーケティングや営業活用、製品設計、品質向上といったもので、多くの企業はこのフェーズだと指摘する。その先にあるのが3つ目の「外部公開/連携」だ。蓄積されたデータをAPIで外部公開するなど、プラットフォーム機能による新しいサービスやビジネスの提案だ。そして、4つ目が「社会インフラ」としてのIoTサービスだ。スマートシティや業界共通プラットフォームの提案など、サービスのみならずIoTによる新しいビジネス戦略の可能性を秘めていると杉氏は語る。
「Nike+ FuelBandであれば、ランナーコミュニティを通じてマーケットを創出できるかもしれない。IoTを通じたネットワークコミュニティ、つまり、場作りによって活用方法を見出すことができる。データ単体ではなく、集合体から価値を見出すことで、今までにないサービスやビジネスが考えられる」(杉氏)
IoTは、もはやオンラインの枠を越えてリアルの世界にまで広がりを見せ始めている。大量のデータから新しい価値を見出すアイデアのためには、顧客視点を持った新たなビジネスを作り上げることが大切だという。
「まだまだ多くのポテンシャルがある。まずは、今まで明文化や自動化されてなかったものを自動化したり、ルールを再定義したりするだけでも価値がある。ユーザーが何を求めているかを常に考え、顧客へのアイデアをもとに新しいサービスを見出さなければいけない」(杉氏)
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