朝日インタラクティブは6月19日、「CNET Japan Live Summer あらゆるモノがつながる世界~IoTが起こす新ビジネスイノベーション」において、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)への世界的な注目に対するビジネスチャンスやイノベーションのあり方についての講演やパネルディスカッションを行った。
「ハードウェアビジネスが変わる−−IoT時代のモノづくり:Cerevo×Moff」と題したセッションには、既存のビデオカメラに接続するだけでネット配信できる「LiveShellシリーズ」など、コネクティッドハードウェアを手がけるCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏、手首に装着したデバイスとスマートフォンアプリが連動し、動きに応じてアプリ側から効果音を発して体を使って遊ぶことができるウェアラブルスマートおもちゃを開発するMoff代表取締役の高萩昭範氏、モデレーターに野々下裕子氏が登壇した。
ウェアラブルやIoTといった分野は、とかくハードウェアに意識が向きがちだが、高萩氏はハードウェアよりもアプリの作り込みを意識しているという。
「あくまでモノは人間との接点、インターフェースでしかない。Moffは、手首に装着したデバイスから手首の動きや回転、腕の振りを加速度センサやジャイロセンサを通じてその人の行動パターンを解析して多様な音が出る仕組みで、数学的な要素が必要。その音をどう鳴らすかにこだわっている」(高萩氏)
従来、人間の動きを捉えるにはカメラなどの空間認識を用いるのが主流だったが、カメラを設置したりスマートフォンのカメラを立ち上げたりする動作は手間がかかる。ユーザーの利便性の向上やコスト面などを踏まえ、センサで空間認識と同様なことができないかを考えた、と高萩氏は語る。
さらに、Moffを通じてクラウド上にデータを蓄積することで人の動きのデータベース化が可能になるという。そこから、人の行動を認識したり推測したりするデータプラットフォーム化構想も考えていると高萩氏は語る。
「ハードウェアは1つのインプットデバイスと考え、ハードウェアとソフトウェアを融合させた新しいビジネスやサービスがあると考えている」(高萩氏)
Moffは、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」に事前にプロジェクトを掲載し、目標金額2万ドルを48時間以内に達成。最終的に7万8000ドル以上の資金調達を実現し、海外メディアから注目を浴びた。こうした一連の動きに対して、Moffも含めてこれまでさまざまなハードウェアベンチャーを支援してきた岩佐氏は、ある程度の下準備や営業に意味があるという。
「Kickstarterに載せる前に、MWC(Mobile World Congress)でデモをしたり、SXSW(South by Southwest)でブースを出したりしながらメディアとの関係を築けたことで、ある程度効果があったのでは。しばしば、Kickstarterに出したいという相談を受けるが、ただプロジェクトを掲載しただけだとメディアに取り上げてもらえる確率は低い。英語圏のメディアの掲載歴やメディアとの関係を築いておくなどの下準備は必要だと考えている」(岩佐氏)
高萩氏は「実は、SXSWでやりとりしたメディアからは、あまり取り上げてもらえなかった。Kickstarterのプラットフォームが持つ力はやはり大きい。クラウドファンディングにプロジェクトを掲載することは、調達のみならずPR施策の1つとして位置づけるべき」と返すも、「しかし、大手の海外メディアに掲載されるには、どこかのメディアで掲載されたというレファレンスで効果は多少あるかもしれない」と話した。
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