新MacBook Airレビュー(最終回)--未来に期待したい3つのこと - (page 2)

未来のMacBook Airへの3つの期待

 さて、MacBook Air 11インチモデルは、結論として、筆者にとっては最も安いモデルでも十分満足できる「買い」のマシンであると位置づけられる。価格面、大きさの面でiPad Airと競合し始めており、パソコンとしてのパフォーマンスを十分に発揮してくれる点で、タブレットなのか、パソコンなのか、というモバイルのスタイルを決めた上で選びたいところだ。

 非常に満足のいく新しい5日間を過ごしてきた筆者だが、その満足感の上で、将来のMacBook Airに対して、次のような点をお願いしたいと考えている。

・ディスプレイ:Retinaディスプレイ化

 一部の噂にも流れているMacBook Air Retinaディスプレイモデルの追加を期待したい。特に13インチモデルでは、MacBook AirとMacBook Proの大きな差別化要因はRetinaディスプレイかどうか、バッテリ持続時間が長いかどうか、という点にある。

 MacBook AirがRetinaディスプレイを搭載すると、MacBook Pro 13インチRetinaディスプレイモデルと競合することになり、Proのプロセッサや拡張性をより飛躍させなければ、存在し続けることは難しくなるかもしれない。そして11インチモデルについては、他のラインアップとも重ならないことから、ぜひRetina化に取り組んで欲しいところだ。

 もちろん、そう簡単にはいかないかもしれない。やや過剰にスペックアップしてしまった、13インチで12時間、11インチで9時間という非常に長いバッテリ持続時間と、Retinaディスプレイ搭載が両立しない可能性もある。しかしiPhone、iPadで既にRetinaディスプレイに慣れている筆者の目は、とにかく軽いMacのモバイルマシンでも、Retinaディスプレイが搭載されることに大きな期待を寄せている。

 もしもRetinaディスプレイを搭載できないとしても、11インチモデルの額縁は少し分厚い印象だ。これをもう少し薄くしてくれたら、デザイン上でもより引き締まった印象を与えられると感じる。

・充電をUSB経由にできないか

 東日本大震災の際に重宝した経験もあり、筆者はその日の予定に応じて6000mAhもしくは10000mAhのモバイルバッテリを持ち歩いている。また、旅行などで便利な5台のUSBデバイスを同時に充電できるACアダプタ(例えばTUNEMAX 5USB CHARGER / TUNEWEAR)も重宝している。次に購入するデジタルカメラは、USB給電が可能なモデルにしようと検討中だ。

 そうした流れの中で、MacBook AirもUSBでの充電に対応してくれるとよいのに、と思った。

 こちらはRetina化とバッテリ持続時間以上に上手くいかない問題がたくさんあるはずだ。プロセッサを変更したり、電源やバッテリ周辺の構造を変えたりする必要がある。またこれまでのMagSafe 2で充電するのか、iPhoneやiPadと同じLightningを使うのかもわからない。

 ただ、アーキテクチャの見直しによって、前述のRetinaディスプレイ搭載とバッテリ持続時間との両立も実現できると面白そうだ。しかしそれこそ、大きくなったiPadみたい内部構造と操作性になるのではないか、という予測も成立する。ちなみに、12インチのiPadについても、噂がささやかれている。

・ストレージの不安を解消する

 現在、ストレージとわれわれが扱うデータ量については、非常に面白いダイバージェンス(逆行の動き)が起きている。

 スマートフォンやデジタルカメラなどで撮影する写真は1枚数Mバイトまで拡大され、HDビデオ、4Kビデオの撮影まで可能になった。そして音楽は1曲200Mバイトを超えるハイレゾ音源が流通しており、4Kビデオのストリーミングも更に増えるはずだ。ソーシャルメディアへ流れてきて目に触れる情報も含め、我々が作り出したりハンドリングしたりするデータ量は飛躍的の伸び続けている。

 しかしAppleのスマートフォンやタブレット、Macの主力製品のストレージはここ数年、増加していない。iPadこそ最大128Gバイトまで増加したが、iPhoneは16Gバイト(一部は8Gバイト)から64Gバイトのストレージ展開のままだ。MacはとくにMacBookシリーズについて、フラッシュストレージの採用により、ハードディスクを採用していた頃よりも標準で搭載するストレージは小さくなってしまった。

 そこで活用していきたいのがクラウドで、必要なデータを必要なときだけ手元に置く、というスタイルだ。iTunes Matchを契約したiTunesの音楽ライブラリは、iTunes上で音楽を削除しても、手元のMacから削除されるだけで曲はライブラリのリストに残り続け、いつでもストリーミングや再ダウンロードが可能だ。ストレージが小さくても、ネットがつながっていれば、HDDを書斎のキャビネットから引っ張り出すことなく音楽が全て楽しめる。

 他のデータについても、クラウド上に置きながら、必要なときだけ取り出すという方法での活用が望ましい。EvernoteやDropboxは「同期」であるため、クラウドと手元のMac上のデータを一致させる方式だ。つまり、Macのストレージはクラウドで保存されている分必要となる。便利で安定性も高いが、ストレージ不足に陥る問題を解決してくれない。

 筆者が使っている別のクラウドサービス「Bitcasa」は、クラウド上の自分の領域をネットワークディスクとして認識させるため、すぐに使うファイルのキャッシュ以外は、実際のファイルをMacに置かなくてもよくなった。

 AppleはiCloudで、特にクラウドを意識させず簡単に利用できるよう整備を進めているが、クラウド側の容量は小さく、すぐにいっぱいになってしまうため、無料で体験できる期間はそう長くはない。統合されたクラウド環境と手元のデバイスの関係について、ストレージが小さいという制限の中で、再構成する必要があると思う。

新MacBook Airレビュー(1)--クラウド時代のPC移行、新たなMacへの乗り換え方
新MacBook Airレビュー(2)--MacBook Proから移行し快適になったこと、困ったこと
新MacBook Airレビュー(3)--AirとProのキーボード比較、Retinaでないということ

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