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「IoT」「EdTech」などにフォーカス--Microsoft Venturesのスタートアップ支援

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 スタートアップ企業向けのイベント「Microsoft Ventures Meetup」では初日、日本マイクロソフト Microsoft Ventures Tokyo代表の砂金信一郎氏と、米Microsoft VenturesのAya Zook氏が基調講演に登壇し、同社がスタートアップ企業に対して提供する支援活動の全容を解説した。

 砂金氏は「“スタートアップ村”に閉じた活動ではなく、スタートアップのみなさんが自身の価値を広く伝えていくための踏み台の役割を果たしたい」とアピールし、ポテンシャルの高い日本発のスタートアップの誕生に期待を寄せた。

アクセラレータとしての活動に「手応え」

 Microsoft Venturesは、全世界のスタートアップ企業をサポートするべく、開発者らのコミュニティ作りを進めているほか、アクセラレーターやファンドの役割も担っている。米Microsoft VenturesのAya Zook氏は、その中でもアクセラレータとしての同社の活動を主に解説した。

  • 米Microsoft Ventures Aya Zook氏

 アクセラレータとして支援を受けるスタートアップは、世界の6箇所にあるいずれかの拠点で3~4カ月間、マイクロソフトの社員らと共同で仕事を進めていくことになる。同氏は冒頭でドイツ・ベルリンにあるアクセラレータの拠点の様子をビデオで紹介したが、ドイツであれば金融、ファッション、デザインといったように、その地域のカルチャーにフォーカスし、「現地のエコシステムの強みを活かしたプログラム」を作り上げているという。

 マイクロソフトは、スタートアップや個人事業主向けの支援プログラムとして、以前から開発環境やクラウドサービスなどを一定条件のもと無償で利用できるようにする「Microsoft BizSpark」を提供している。しかし、同氏いわく「BizSparkはオファーの1つ」であり、Microsoft Venturesの取り組みの目的は、より包括的なスタートアップに対する支援だと語る。

 「スタートアップのライフサイクルに合った、その時々のキーポイントに沿ってサポートする」ことに視点を置いており、BizSparkは“アーリーステージ”における支援の1つ。ほかにも、日本にも4箇所あるイノベーションセンターなどを活用した起業家の育成、アクセラレータの拠点でのサポートに加え、同社の顧客である大企業とスタートアップとをマッチングさせるカスタマーアクセスプログラムなど、マイクロソフトならではの支援策を用意している。

 また、Microsoft Azure、Microsoft SQL Server、Visual Studioといったクラウドサービス、データベース、統合開発環境の提供に止まらず、Windows向けにアプリケーションを1つ作れば、PCのほかWindows PhoneやWindowsタブレット、Xboxでも動くというように、ワンソースマルチユースを実現する多数のプラットフォームを抱えていることもメリットとして挙げた。さらにWindows周辺のテクノロジー以外に、オープンソースアーキテクチャを用いた開発を積極的に支援していることにも触れた。

 アクセラレータについては、残念ながら現時点で日本国内に拠点はない。しかし、アクセラレータとしての活動を2年前から始めた結果、すでに174社がアクセラレータから卒業したという。各社がプロダクトを公表するDemoDay後の半年以内に、その80%以上が追加増資を受け、現在のところ11社が買収(イグジット)されているという実績も披露し、同社のコーポレートVCとしての活動に「手応えはある」とAya Zook氏は胸を張った。

  • マイクロソフトのアクセラレータの拠点は世界6箇所。他にもイノベーションセンターやパートナーなどを多数抱える

  • スタートアップのライフサイクルに合ったさまざまな支援策を用意

  • 174社がアクセラレータープログラムを卒業。増資や買収を受ける例も多いという

MS製品不使用でも支援対象

 Microsoft Venturesが支援するスタートアップの基準は、「マイクロソフトとして付加価値の高い形で関われるところ」。主にテクノロジーやエンタープライズの分野となるが、Aya Zook氏は「ビジネスフォーカスなファウンダーと、テクニカルな面がわかるファウンダーがいないと対象にならない」とし、それに加えて製品やサービスを「(国内に止まらず)グローバルにもっていけるイノベーション力」も重視するという。

  • 日本マイクロソフト Microsoft Ventures Tokyo代表 砂金信一郎氏

 マイクロソフト製品を使っていないと支援対象にならないのではないか、といった先入観もあるが、「そういう条件はない」と明言。同社が支援したスタートアップのうち、イスラエル企業が開発したビジュアルベースのソーシャルQ&Aアプリ「askem」を、iPhoneアプリのみで提供しているサービスの例として挙げた。もちろんAndroidアプリのみのサービスも支援できると述べ、「アイデアがよくて、ファウンダーがしっかりしており、ビジョンが面白い」ものであれば支援対象になりうるとした。

  • Microsoft Venturesの支援先の例

 ただし、Microsoft Venturesとして今後重点的にフォーカスしていこうとしている分野はある。1つはホームオートメーションなどを実現する「IoT」分野、もう1つは自然言語処理やビッグデータ、機械学習などを扱う「スマートクラウドサービス」だ。また、モバイルや教育(EdTech)分野についても注力したいという。特に学校教育の現場ではタブレットなどのデバイスを導入する動きはあるものの、コンテンツがそれについてきていない点が課題であるとし、これを解決できるスタートアップの登場を願っているようだ。

 より具体的な例としては、米国の地域ごとに異なる売上税の計算を自動化するサービスを開発している「Avalara」、レストランやデリバリーサービスにおける注文管理を効率化するAPIを提供している「ordr.in」、オンラインで取得できる学位を見つけられる「RANKU」などが、Microsoft Venturesにとって関心の高いカテゴリのサービスになるという。

  • イスラエルのアクセラレータープログラムも開始。サイバーセキュリティや医療機器に関するスタートアップを募集している

 Aya Zook氏と砂金氏は、日本は他の国と比べてもスタートアップのポテンシャルがあり、盛り上がっているにもかかわらず、それをグローバルに発信できていないのが残念だと口をそろえる。「日本は、歴史から考えても世界に発信しているグローバルなすばらしい実績がある。世界をあっと言わせるようなものが絶対にある」とAya Zook氏は述べ、日本の強みをグローバルに活かすスタートアップが増えてくることに期待をにじませた。

 最後に砂金氏が、Microsoft Venturesの日本国内における活動例を紹介。BizSparkはすでに2000もの会員が利用し、各地で開催しているハッカソンなどのイベントにも同社は積極的に参加している。スタートアップが開発したサービスやソリューションの採用事例に、マイクロソフト自身が加わることで何らかの価値を生み出せるのであれば、事例の1社となるのもやぶさかではないと話した。

 さらに、内容によってはマイクロソフトが所有しているスペースを貸し出して、1000名規模のイベントに利用するのも可能とのこと。当然ながら同社の技術、プラットフォームを導入する際の技術的なサポートもできるとし、スタートアップやスタートアップを目指す個人を全面的にバックアップできる体制にあることを強調した。


Microsoft Ventures Meetup

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