UPDATE ソフトバンクの代表取締役社長でSprintの会長を兼任する孫正義氏でさえ、T-Mobile USの最高経営責任者(CEO)を務めるJohn Legere氏のファンを自認している。
米国時間5月28日、カリフォルニア州ランチョ・パロス・ベルデスで開催されたRecodeの Code Conferenceで、孫氏は「私はJohn Legere氏を大いに尊敬している」と述べ、拍手と笑いを誘った。
孫氏は、ひそかとは言いがたいキャンペーンの先頭に立ち、SprintとT-Mobileは合併して無線通信業界のもっと強い競争者になるべきだとの主張を規制当局と米国民に聞き入れてもらおうと働きかけてきた。同氏はまた、家庭用ブロードバンドと無線通信の両方について速度の遅さを批判し、その原因はComcastがケーブルを、Verizon WirelessとAT&Tが無線通信を、それぞれ独占している点にあると主張した。同氏は、(少なくとも無線通信分野で)このような独占状態を打破して、高速化と低価格化を実現したいと考えている。
しかしながら、規制当局はSprintとT-Mobile USの合併承認に難色を示し、米国の無線通信市場については全国規模の4社が競合する状況を維持するのが好ましいと考えている。当局側は、契約者数第4位の無線通信事業者であるT-Mobileが、新規顧客の増加によりこの数カ月間に急速に盛り返している点を、Sprintと合併すべきではない理由の例として挙げている。
だが、業界トップ企業に支配力が集中していることが、他国より速度が遅く価格が非常に高い理由だと、孫氏は主張する。
「われわれは高速化と低価格化を実現するつもりだ」と孫氏は断言した。
孫氏は、北京に住んでいながら極度の大気汚染に気付かない人を引き合いに出し、米国の消費者はインターネット接続に関して、自分たちがどれほどひどいものしか与えられていないかがわかっていないと主張した。
「シリコンバレーにある自宅では、いつも『これはひどい』と言う羽目になる。こんな状態を米国はどうやり過ごしているのだろうか?」(孫氏)
日本も以前は同様の状況で、NTTが市場を支配していた。そのため孫氏はソフトバンクで通信事業に進出、低価格で高速のブロードバンドを導入したという。同氏は、米国でこれと同じことをすると述べたが、今回は無線通信が舞台となる。同氏はさらに、ネット上のすべてのトラフィックは平等に扱われるべきだとする、ネットの中立性の概念を無線通信の分野でも尊ぶつもりだとも述べている。これは他の無線通信事業者がいまだに明確にしていない部分だ。
AT&TとVerizonは、孫氏の指摘に静かに異議を唱え、自らのLTEネットワークで実現されている速度は、世界最速レベルだと主張した。
一方、ソフトバンク傘下のSprintは無線通信の速度の点で後を追う立場にあるが、この点は孫氏も認めている。
「半年前にSprintを買収したばかりだ。構築には数年かかる。ネットワークを設計する必要がある」(孫氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」