18歳からの著作権入門

著作権ってどんな権利?~著作権侵害だと何が起きるのか

福井健策(弁護士・日本大学芸術学部 客員教授)2014年05月30日 11時00分
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 前回までで、著作権は「著作物」(=創作的な表現)という情報にしか働かないことを学びました。では、その著作権というのはどんな権利なのでしょうか。一言でいえば、「私に無断で私の作品を利用するな!」といえる権利です。無断で利用すると、著作権侵害といってそれなりに深刻な結果を招くこともあります。

 どう深刻かというと、著作権侵害は大きく分けてふたつの責任を伴います。まずひとつは「民事」の責任。これは、個人が個人を訴えて、侵害行為をやめさせたり(=差止)、損害の補償(=損害賠償)を請求することです。

 もうひとつは「刑事」の責任です。これは国家が個人を訴追して処罰することを言います。つまり、著作権侵害には罰則があって、故意におこなうと犯罪なのです。刑事罰はどの程度の重さかといえば、映画館に行くと最近はもれなくCMで教えてくれますね。「NO MORE映画泥棒」という、カメラが踊るCMです。映画に行くたびに見せられるので、筆者はもう踊れます。どのくらいの罰か想像がつきますか。「最高で懲役10年又は1000万円以下の罰金、あるいはその両方」です。法人の場合、罰金は最高3億円になります。


 これは、法定刑としては結構重い方です。どれくらい重いかと言えば、大麻の輸出入や営利目的譲渡の法定刑よりも重いです。つまり、日本では路上でマリファナを売るよりも、著作権侵害の方が法定刑は重いのです。すごいですね。まあ法定刑ですから現実の処分はそこまでは重くならないことが多いですが、気を付けたいところです。

 さて、ではどんな利用を無断ですると著作権侵害なのか。つまり著作権はどんな行為に及ぶのかといえば、実に幅広い行為が対象になっています。


図:著作権にはこんな権利が含まれる

 大変です。一言で「著作権」といっても内訳は11種類もあります。

(1)複製権

 まず一番上は、「私に無断で作品をコピーするな」という複製権です。これはコピー機でコピーする行為ばかりではありません。たとえば、印刷や写真撮影も複製のうちです。録音録画も複製のうちです。手で書き写すのも複製のうちです。第1回で、講演も著作物だと書きましたね。ですから大学の先生の授業なんて、おそらく著作物です。それを皆さんがノートに細かく書き写すと、複製です。では無断でノートテイクすると著作権侵害かというと、まあそもそも「ノートを取るな」という珍しい先生はあまりいないでしょうが、別に学生が無許可でノートをとっても著作権侵害ではありません。なぜ侵害でないかといえば、この先の回で説明しましょう。

(2)演奏権・上演権

 次は、「私の作品を無断で演奏するな、上演するな」といえる権利。不特定または多数の人を前に演奏・上演する行為が対象です。たとえば一般の人が誰でも入場できるような場所で演奏すれば、有料でも無料でも、仮に実際の入場者はひとりだけでも対象です。それから、一般の人ではなくて知人ばかりを集めたとしても、たとえば100人いる前で歌を歌えば、それで立派な演奏行為です。ですから結婚式で歌を歌うのは、あれは演奏権の対象なのです。今は多くの結婚式場で、音楽の演奏のための使用料をJASRACという団体におさめています。また、気をつけたいのが、CDを流すのも演奏のうちなのです。ですから、イベントでBGMとしてCDを流したりすると、著作権の問題になります。

(3)上映権

 これは、スクリーンに映画を映すことだけではありません。たとえば、TVモニターに動画を映すのも上映のうちです。それから、動画に限りませんから、パワーポイントを映写してプレゼンをすると、上映です。

(4)公衆送信権

 難しい言葉ですが、たとえば「私の作品を無断で放送・有線放送するな」と言える権利です。誰かの作品を無断でネットにアップするのも公衆送信です。ですからお気に入りの漫画家のイラストをブログに張り付けたりすると、理論上は公衆送信です。1日2、3人しか見に来ないささやかなブログでも、関係ありません。演奏などと一緒で、一般の人や多数の人がその気になれば見ることができる場所にアップすれば、誰も見る前でも「送信可能化」といってその時点で公衆送信です。同じく、マスメールもこれにあたります。たとえばメーリングリストとかLINEですね。100人も参加しているMLで人の作品を添付して流したりすると、それだけで公衆送信です。もっと少ない人数でもあたるかもしれません。

(5)口述権

 「私の作品を無断で朗読したり読み聞かせをしないでくれ」と言える権利です。

(6)展示権

 これは珍しい権利です。美術と未発行の写真作品だけが対象なのですが、作品のオリジナルを無断で展示しないでくれ、と言える権利です。オリジナルだけが対象ですから、たとえば複製画をお店で買ってきて喫茶店の店内に飾っても、展示権の問題にはなりません。

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