青葉の季節ですね。筆者の住む町で小さい頃から見守って来た子供達も、あるいはあこがれや不安を胸に、あるいは来年の捲土重来を期して、それぞれ新生活のスタートを切りました。彼ら全員へのささやかなエールとして、今日から(ほぼ)週刊で新連載「18歳からの著作権入門」を始めます。今やメディアを賑わすことも多く、学校生活やネット生活などさまざまな活動で必須知識となった「著作権」を、基本からできるだけわかりやすくレクチャーします。
一応の連載予定はこんな感じです。単純計算すれば20週(5カ月)ですが、進める中で順番や内容は少し変わるでしょう。
では、早速はじめましょう。
みなさんがネットでイラストでも動画でも、何か素材を見つけたとしますね。それをダウンロードしたり自分のブログに載せたり、使ってしまったりしていいのか。こんな疑問が著作権をめぐる旅の始まりです。
この時、最初の問いは必ず「その素材(情報)は、著作物か?」です。乱暴にいえば、世の中のすべての情報は、「著作物」と「著作物ではないもの」に二分されます。「著作物」だったら、そこには著作権というものが生まれます。まあ色々面倒くさいことの始まりです。許可がないと利用できないのが原則で、勝手に使うと著作権侵害といってそれなりに重大な結果につながります。
他方、その情報が著作物ではない場合、それでも「肖像権」とか「商標権」とか、ほかの権利が関わってくることはあります。ですが基本的には、自由に利用できる可能性がぐっと高まります。つまり、ある情報が著作物かどうかは、この情報社会・ネット社会では、とっても大きな分かれ目です。
という訳で、ここで著作物の定義というものが登場します。厄介ですが、法律の定義を覚えて貰うのはここだけですから、どうぞ我慢してください。
著作物とは短く言えば、「思想や感情を創作的に表現したもの」です。縮めれば「創作的な表現」。これだけ覚えていれば現場では何とかなりますので、ここは覚えましょう!…といっても、「創作的」なんて抽象的ですね。そこで、著作権法という法律では「著作物の例」を9つ挙げてくれています。この例も頭に入れると仕事がとても速いので、紹介しましょう。
まず、「1.小説・脚本・講演などのテキスト」です。詩や短歌もここに入ります。わかりやすいですね。
次に「2.音楽」です。これは解説が必要で、作詞家や作曲家が創る「歌詞・メロディ(楽曲といいます)」が著作物です。「編曲・アレンジ」もこの仲間で、いわば楽譜に書ける情報が著作物です。つまり、演奏するミュージシャンや歌う歌手が著作者なのではなくて、演奏され歌われる歌詞・楽曲の方が著作物です。それを作った人々が著作者です。(では、歌手やミュージシャンには何の権利もないのかと言うと、著作権はありません。ただし、彼らは自分が演奏したり歌ったりした実際の「音」(実演といいます)について、「著作隣接権」という、似ているけれどもっと狭い権利を持ちます。)
3.は「舞踊・無言劇」です。舞踊はダンスですね。無言劇は何かというと、パントマイムです。ここでも音楽と同じに考えますから、踊るダンサーが著作者なのではなくて、踊られる振付が著作物です。それを創りだした振付家(コリオグラファー)が著作者です。「恋するフォーチュンクッキー」ならパパイヤ鈴木ですね。ですから、振付の著作権はコリオグラファーが持つのが基本で、ダンサーが無断でステージで踊ったりすると著作権侵害になることがあります。
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