ソニーは5月16日に3機種のデジタルカメラを発表した。AFの速度と追従性をアップさせたデジタル一眼レフカメラ「α77II」、最大40万9600までの高感度撮影と4K動画撮影をサポートするミラーレス一眼「α7S」、そしてコンパクトデジタルカメラの「DSC-RX100M3」(RX100III)だ。
コンパクトデジタルカメラは、スマートフォンの普及により最も”あおり”を食った製品ジャンルの1つだ。小さく軽く、手軽に撮影できるという商品特徴はそのままスマートフォンに受け継がれ、2014年は台数ベースで400万台強と前年比2ケタ減を見込む厳しい状況になっている。しかし高級コンパクト機に限っては、2013年の41万台から2014年は49万台へと、前年比20%増の予想をソニーは発表している。
RXシリーズは、2012年に登場した高級コンパクトデジカメ。第1号機である「DSC-RX100」は、1.0型の「Exmor CMOSセンサー」を搭載し、高い描写力が話題となった。当時の想定価格は7万円前後。その後、ソニー初のフルサイズCMOSセンサを搭載した 「DSC-RX1」、24~200mmのハイズームを備えた「RX10」と、ラインアップを拡充し、新モデルRX100 IIIで、全6モデルがそろう。RX100の登場から約2年が経過しているが、すべてのモデルが現行機として販売されている。
ソニーマーケティングのデジタルイメージングMK部 統括部長の伊藤秀樹氏は「手の中に収まるコンパクトサイズと高画質、高性能の両立により高付加価値モデルとして受け入れられた」とRXシリーズを分析する。「RXシリーズはレンズ交換式カメラのサブ機、セカンドモデルとして位置づけている」とターゲットも明確だ。
CMOS、画像処理エンジン「BIONZ X」といったデジタルカメラの心臓部とも言える部分はすべて自社製。レンズはカールツァイスの「バリオ・ゾナーT*」を採用するなど、その内部は一眼レフ同様のこだわりを見せる。コンパクトサイズの一体型ながら高画質と高性能が両立できた背景には、CMOSと画像処理エンジンを内製していることが大きい。
レンズ交換式カメラのサブ機として、その地位を確立しつつあるRXシリーズ。最新モデルとなるRX100 IIIは、広角24-70mmの新開発レンズを搭載し、本体にはビューファインダも内蔵する。「ビューファインダも備え、一眼カメラを使っているユーザーにも十分に楽しめるコンパクトサブ機」と伊藤氏はRX100 IIIを位置づける。
1/1.7型以上のセンサを搭載したデジタルカメラの業界平均単価は約4万円前後。その中でソニーのコンパクトデジタルカメラ「RX」シリーズは、平均単価7万円をキープしている。
約2年で6モデルにまでラインアップを拡充したRXシリーズ。伊藤氏は「台数は追わずに、市場の動向を見ながら取り組んでいく。ソニーでは、通常のcyber-shotシリーズでも高倍率モデルという人気商品をもっており、こちらの平均単価も2万5000円程度と、通常より5000円ほど高い。金額の貢献度は非常に大きい」と、コンパクトデジタルカメラの動向を話した。
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