iRobotが格好いいロボット掃除機を販売しているのは有名だが、300ドル(260ポンド)で販売されている同社の「Braava 380t」はそれとはまったく異なるロボット掃除機だ。この小さな掃除機には吸入口やローラーブラシ、ダスト容器が搭載されておらず、濡れた布や乾いた布(再利用できる布や使い捨てのシートも使用できる)で拭き掃除をするようになっているのだ。iRobotはこの製品をフロアのモップがけロボットと呼んでいる。
BraavaはiRobotがEvolution Roboticsを7400万ドルで買収したことによりできた製品だ。同製品は、Evolution Roboticsが製造していた「静音型」のモップがけロボット「Mint」を再ブランド化して販売を継続することにしたものだ。iRobotによると、このフロアクリーナーはハードフロア上に落ちているチリやゴミ、毛、こびりついた汚れを拭き取ってくれる掃除機だ。筆者は静音型という点にはうなずいたものの、その清掃能力は額面通りに受け止められず、実際に使っている際にも自動充電機能やスケジュール機能といった「Roomba」に搭載されている重要な機能がない点を残念に思った。基本的な清掃能力について言えば、このロボットはある程度の実力を持っているかもしれないが、頑固な汚れでもきれいに落とせるとまでは考えない方がよいだろう。
Braavaのデザインは極めて優れている。見た目は良いし、出しゃばらない掃除機だ。特にその静音性は素晴らしく、米CNETが今までにテストしたロボット掃除機のうちで最も静かな製品だった。キッチンを掃除させている時に、隣の部屋でテレビを観ても音量を上げる必要はないだろう。
「Roomba 880」やNeato Roboticsの「BotVac 85」といった大型で重いロボットと比較した場合、Braavaは4ポンド(約1.8kg)という取るに足らない重量だ。このため何の苦もなく持ち上げられる。ただ、この掃除機はユーザーの助け無しには掃除を開始したり、充電用のベースに戻ったりはできないため、何度も持ち上げる必要が出てくる。
Braavaの背面部には取り回しをしやすくするための取っ手がついており、持ち運び時には特に重宝する。ただこの取っ手は、充電用の接点部と同じ面についているため、充電時にはその面を下に向けなければいけないというのはいただけない。つまり、ドックから持ち上げる際に取っ手をつかむことができないのだ。Braavaの軽さを考えた場合、これは大した話ではないが、取っ手は上面にあった方が扱いやすかったはずだ。
充電はドックの上に縦置きして行うようになっている。今までにテストしてきたRoombaはすべて、充電時に横付けするようになっているため、その点で大きく異なっている。このため、Braavaを充電する際に必要となる床面積はずっと小さくなり、ソファの後ろといった目立たない場所での充電も可能だ。
この長所は裏を返せば、Braavaが他のロボット掃除機のように充電のために自動的にドックに戻ってくるようにする改良は今後も期待できないということを意味している。掃除が終了した際に、ユーザー自らの手でドックに戻してやる必要があるのは、ロボットが家を掃除してくれるという魅力を半減させてしまう。
また、このドックはBraavaのナビゲーションを助ける役目を持っていないというのも少し残念なところだ。Braavaに清掃範囲を伝えるには、「NorthStar Navigation Cube」というアクセサリを、掃除したい部屋のどこかに置いておく必要がある。この立方体をしたアクセサリはBraavaと無線で連携し、清掃範囲を決定する上での目印となる。なお、2部屋以上掃除したい場合、このアクセサリを追加する必要があるため、個別販売もされている。
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