4月下旬にインドネシアの首都ジャカルタを訪れる機会があった。その際、現地で暮らす若者にスマートフォンやアプリの利用状況について話を聞く機会があったので、その模様をお伝えする。ただし、これらの話がジャカルタのすべての若者に当てはまるわけではないことを先に断っておく。
今回話を聞いたのは、日系IT企業の現地法人で働く5人の女性社員。いずれも20代の若者で、彼女たちは仕事柄、テクノロジに触れる機会が多く、インターネットへの関心度やリテラシーが高いことが共通点である。まず、それぞれが使っているスマートフォンについて聞いた。
5人全員がAndroid OS搭載のスマートフォンを使っており、機種はそれぞれ「Nexus 3」「Galaxy S3」「Galaxy S4」「Galaxy Core 2」、そして1人は「Galaxy Note 3」と「iPhone 5」の2台持ちだった。2台持っている理由は、iPhone 5が普段使いで、Galaxy Note 3は韓流ドラマを大きな画面で見るためだそうだ。
ジャカルタではAndroid OSを搭載した端末とiPhoneのどちらが人気かを尋ねると、全員口をそろえて「Android」だと答えた。真っ先に挙げられた理由は、コストパフォーマンス。彼女たち曰く、現地価格でiPhone 5はおよそ800万ルピア(約7万円)、iPhone 5Sはおよそ1000万ルピア(約8万8000円)。独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)が公開する資料によれば、非製造業スタッフの平均基本給は月額295ドル(約3万円)であるから、相対してiPhoneはかなり高額なのだ。
一方、Android OSを搭載した端末は種類が豊富で、価格においても選択肢が多い。さらに、OSのインターフェースを自分好みにカスタマイズできたり、無料のアプリが充実していることなども好む理由だという。またiPhoneの弱みとして、デバイス間のコンテンツの同期が難しいという声も聞かれた。しかし、「もしiPhoneの価格がもっと安かったらどうするか」と聞くと、彼女たちのほとんどがiPhoneを選びたいと答えた。
ちなみに、彼女たちの多くが初めて手にしたスマートフォンは「BlackBerry」だそうだ。しかし、BlackBerry MessengerアプリがGoogle Playで公開されてどの機種でも使えるようになってから、続々と買い替えが進んだという。
次に、使っているアプリについて話を聞いた。まずはSNS。インドネシアのネットユーザーの9割に達する6500万人が利用しているとされる「Facebook」はやはりジャカルタでも人気で、特にスマートフォンからアクセスする利用者が多いそうだ。インドネシアのジャカルタ・ポスト紙によれば、先日ジャカルタにFacebookのオフィスが開設されたという。
この一方で、ネット業界で働く人の中には、あまりにもFacebookで多く人と繋がってしまったために、情報過多などが理由でストレスを感じている人が少なくないという。そのような人は、クローズドSNSの「Path」に乗り換え始めており、この傾向は学生のような若年層にも広がっているという。
続いてメッセンジャーについて聞いた。2012年頃までは、先述のBlackBerry Messengerアプリが人気だったそうだ。最近はそこから、「WhatsApp」「LINE」「KakaoTalk」「WeChat」「Google Hungouts」などに移行しており、海外の人とビジネスの会話をするときは「Skype」を利用するという。
このほかのアプリの使い分けとしては、WhatsAppはジェネラルに使うもので、LINEは面白いカジュアルな間柄でのやりとりに使うものだそう。LINEについては「ステッカー・ウォー(戦争)」という言葉があり、ダウンロードしたスタンプ(現地ではステッカーと呼ばれている)を友人に多数送りつける遊びが流行っているという。
人気のカメラアプリは「Instagram」。それ以外に現地で流行っているのは、「FotoRus」「Cymera」など。ニュースについては、効率的に記事を読むために特定のアプリを利用していることは少ないといい、主にFacebookやPath、Twitterのタイムラインで流れてきた記事を読むという。現地の大手メディアが公開しているアプリとしては「Kompas.com」や「detikcom」などがある。いずれもインドネシア語で書かれた記事を掲載している。
アプリから話はそれるが、Eコマースについても聞いた。人気があるサイトはファッション系の「Zalora」や「Berrybenka」、家電製品などを取り扱う「Lazada」などだ。しかし、実際に商品を購入する機会は半年から1年に一度とそこまで多くない。その理由は、商品代金を入金したことを証明するために、発行されたレシートをEコマースサイト運営者にメールで送らないといけないという、日本ではあまり見られない一手間がかかるからだそうだ。
他国と比べてインドネシアで人気と聞く共同購入型クーポンサイト「Groupon」は、多い人で月に一度、少なくとも半年から1年に一度は使うという。購入するクーポンは、レストランやスパ、カラオケが多いそうだ。
最後に、ネット回線のスピードについて満足しているかと聞いたところ、全員が口をそろえて、しかも声高に「NO」と回答。中には、家族全員がなにかしらネット端末を持っているため、自宅では4つのプロバイダと契約しているという人までいた。
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