NPD Groupの消費者向けテクノロジ担当アナリストのBen Arnold氏は次のように語っている。「Nikeはアスリートと消費者に強く興味を持ち、投資をしている。アスリートが次のレベルに進むのにテクノロジが役立つとすれば、Nikeはそれを完全に利用する。テクノロジを自分たちの業績向上のために使いたいと考えれば、アスリートのためのプラットフォーム、あるいはデジタル的な接点として戻ってくるだろう。そこには彼らにとってまだ大きなチャンスがある」
Nikeが負けを認めることはない。むしろ同社は、どんな企業でもするように、ビジネス上の難しい決断を下したのである。Arnold氏は、ウェアラブルデバイスに関わり続けることは、やはりNikeの顧客との関係を向上させるのに役立つ機会だとしている。Nike+アプリプラットフォームは成長を続けており、2013年8月に1800万人だったユーザー数は、2014年4月には2800万人に増加した。
「うまくいかないアイデアやテクノロジにとらわれる理由はない。Nikeには本当に素晴らしい製品がたくさんあり、これ(FuelBand)はうまくいかなかった製品の1つと言ってよいだろう」(Poser氏)
今回の決断が、FuelBand SEの発売から半年もたたない今回のタイミング(数カ月前から真剣な話し合いが行われており、4月10日に米CNETが初めて報じた)で行われた理由は、依然として不明だ。
アナリストや、Nikeにとってパートナーシップが当然の流れだと考える人々がすぐに思いつくのは、Appleとのつながりだ。Appleは「iWatch」と呼ばれるウェアラブルデバイスを開発していると報じられている。しかしそうしたことはすべて、あくまでも推論の域を出ない。最新の報道は、2014年のうちにAppleとNikeの提携による「スマートバンド」が発売されるとしている。「Appleがスマートウォッチを発売するだろうと予想される時期に近くなってこうした決定がなされたことは、私には偶然とは思えない」(Buss氏)
Nikeは声明で「業界トップのテクノロジ企業との提携は、Nikeにとって珍しいことではない」と述べた。NikeはAppleとは2006年から提携しているとも述べている。ただしそうしたヒントを出すのは、Appleとの関係性を認めていることになる。
Poser氏は別の、より一層推測に基づく見方をしている。Nikeは、ボールを渡さない人と一緒にプレイすることを拒むアスリートのように、FuelBandで先陣を切りながらも、わずか2年後には小さなスタートアップ企業が自分より多くの市場シェアを獲得するのを見せられる結果になったという事実が気に入らなかったのかもしれない。
「彼らはほかの人々が自分たちよりも多少うまくやっていることに気づいた。そして彼らは、自分たちが一番ではないことはやりたがらない」(Poser氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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