シャープは4月11日、「AQUOS UD1」シリーズと「AQUOSクアトロン プロ XL」シリーズで取得しているTHX認証ついて、THXの認定員を招き説明会を実施した。THXの目的や取得に至る経緯について話した。
THX認証とはディスプレイに対して映像品質の高さを保証するプログラムのこと。映画館や家庭用AV機器などのクオリティチェックを実施する「THX」が手がけており、その認証範囲はスタジオ機材から映画館、家庭用AV機器まで多岐に渡る。THXでは、ユーザーに対し最高の映像と音声を提供すること、製作者の意図を再現することを目的にしている。
THX認証を取得するには、パネルの性能や動画処理、色の正確さといった項目でテストをクリアする必要がある。THXのシニアシステムエンジニアであるJon Cielo氏は「認証においては鮮明な映像や動画の色再現性を重要視している。液晶テレビで正確に色と輝度を表現することは非常に難しい」と話す。
パネルのクオリティについては、中央部分から画面の端まで全体で優れた輝度を得られるか、動画処理時に不要な筋が出ないか、ハリウッドと同じ色再現ができているか、などの点を確認するという。
シャープでは、2013年5月に発表したUD1シリーズで「THX 4Kディスプレイ規格」、10月に発表したフルHDパネルに4K相当表示ができるフルHDモデル、XL10シリーズでハイビジョン映像(2D)での「THX ディスプレイ規格」の認証を取得している。
シャープのAVシステム開発センター 画質開発グループチーフの小池晃氏は「UD1、XL10はともにエッジ型バックライトを使用しており、エッジタイプでここまでの均一性を実現するのには苦労した。フレームのシャーシを均一にし、歪みが出ないようにした上で、LEDバックライトを配置する距離や数を数ミクロン単位で制御して実現した。これは日本製のパネルだからこそできた技術だと思っている」と当時を振り返った。
会場では、通常のフルHD液晶テレビ、UD1、XL10と3台の液晶テレビを並べて展示。THX認証を取得していないモデルに比べると背景の壁の凸凹感が抑えられる、遠近感がきちんと表現されるなどの違いを確認できる。
「UD1、XL10には『映画THX』」モードを備えているが、画面の均一性などが際立ち、映画THXモードを使用しない時でも高画質で見ていただけるはず。ニュースやドラマといったコンテンツも高画質で再現できるため、お客様のメリットにつながっていると考えている」(小池氏)とした。
テスト項目はすべてTHX側が用意し、Cielo氏ともう1のエンジニアの2人で認証判定を担当する。THX認証に至るには1度受けたテストでクリアしなかった部分を再度チューニングし、テストを受け直すといったやりとりが何度もあったという。テストは1~2週間かけて実施されるが、「テストを受けるまでにも何度もチューニングを重ねているはず」(Cielo氏)としており、THX認証取得へのハードルの高さが伺えた。
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