ディースリー・パブリッシャーから4月10日に発売されたPS3用ソフト「ドリームクラブGogo.」。同社が展開している恋愛シミュレーション「ドリームクラブ」シリーズの最新作だ。
ピュアな心の持ち主である男性だけが入会できる大人の社交場「DREAM C CLUB」(ドリームクラブ)を舞台に、純粋で清らかな心をもったホストガールたちとお酒を飲みながら会話を楽しむ内容となっている。2009年8月にXbox 360用ソフトとして初代「ドリームクラブ」が発売されて以降、ホストガールを追加した「ドリームクラブ ZERO」をはじめとして、さまざまな機種で展開されているタイトルだ。本作ではこれまでのシリーズと世界観は同じにしつつ、舞台を5号店に移し登場するホストガールを全て一新。完全新作の物語が展開される。
ふとしたことから突然ドリームクラブの会員になったプレイヤーは、週末になるとドリームクラブに行き、お気に入りのホストガールを指名。お酒を飲みながら楽しく会話をして仲良くなっていくことが目的となっている。IIS(インタラクティブ飲酒システム)により、プレイヤーの目の前にはお酒が入ったグラスが用意され、スティックを傾けると飲むことができる。もちろんホストガールもお酒を飲む。プレイヤーが飲むペースによって、ホストガールが飲むペースに影響を与えることもある。
プレイヤーもホストガールもお酒がすすむとほろ酔い状態になる。ほろ酔い状態になると会話や質問したときの反応も変わり、意外な一面を知ることもできる。お互いがほろ酔い状態になるとETS(エモーショナルトークシステム)が発動し、たとえばホストガールから質問されたときの回答の選択肢が大ざっぱなものになるなど、スリリングさが味わえる。ほろ酔い状態になれば本音の話題も出てくるため、ETSの状態にもっていくことが本作では基本となっている。
なおプレイヤーには飲酒ゲージがあり、それが最大になると酩酊(めいてい)状態として強制退店。同じようにホストガールもお酒を飲み過ぎると酩酊状態になってしまうので注意が必要だ。
さらにドリームクラブの魅力となっているのがカラオケステージ。ホストガールがカラオケのリクエストに応じてくれると、カラオケステージで歌声を披露。ホストガールにはそれぞれに持ち歌が用意されているが、その一曲に限らずほかのホストガールの曲も歌ってくれることもある。一方で、リクエストに応えてくれるかどうかはホストガールの自主性に任されているため、好感度によっては断られることもある。
さらにほろ酔い状態でリクエストに応じてくれることもあり、ダンスはもちろん、歌い方も変化。ほろ酔い状態のかわいいカラオケ、通称“カワオケ”が披露され、普段とは違うカラオケステージを見ることができる。
さらに仲良くなれば、お店が終わった後にお話ができるアフターのお誘いを受けたり、デートの約束をすることもできる。ホストガールのことをさらに知ることができるとともに、より親密な関係になるチャンスだ。
ドリームクラブシリーズは基本的に特定の会話や話題、行動を取ることによって進行していくタイプのゲーム。ただ、テキストアドベンチャーのように、状況説明などがかかれたシナリオを表示するのではなく、会話のやりとりに特化しているのが特長だ。会話の多くは3択による分岐があるため、ホストガールの反応もバリエーションに富んでいる。
会話を基本にコミュニケーションを取って仲良くなっていくというシステムであるため、ホストガールへの思い入れも持ちやすい。ホストガールの年齢や誕生日、趣味、好き嫌い、さらにはスリーサイズなどのパーソナルな部分を含めてプロフィールは非公開であり、そこを会話を通じて引き出していくことがシリーズの面白さ。ホストガールのことをどんどん知っていくことを実感できることも、思い入れを深くしやすくなっている。
個性的なホストガールをより魅力的にしているのが、3Dポリゴンに2Dのようなかわいらしさを持つ女の子がリアルに動くという“2.5次元”の表現と、イレギュラーな感情を呼び起こすお酒という存在だ。会話に対する反応をテキストやボイスだけではなく、かわいらしいしぐさや細かいしぐさは見ていて楽しい。もちろん3Dでアニメ的な表現をする手法は今や珍しいものでもないが、お酒が入ったほろ酔い状態という感情表現に真正面から踏み込んでいるものはあまり例がなく、そこで普段では見せないであろう受け答えや飛び出す飾らない本音、リアクションのしぐさや動きなどが、よりホストガールを映えるものにしている。
カラオケステージの歌も“カラオケ”の言葉からイメージされるものではなく、王道のアイドルソングからテクノポップなど、最近のものから少し昭和時代を感じさせるものまで、キャッチーで耳なじみのいい本格的な楽曲がそろっている。さらにほろ酔い状態のカワオケは、他の作品でもあまり例を見ないドリームクラブの大きな特徴ともいえる。それぞれホストガールとしての持ち歌はあるものの、それ以外の曲も歌うことが可能で、さらに通常状態とカワオケの2パターンあるため、バリエーションは豊富だ。
本作のシステムにおいては、ドリームクラブ ZERO時代のものをほぼ継承しているため、それ以降に展開されたタイトルを触っていれば、特に迷うこともなく楽しむことができる。過去作を経験したプレイヤーによっては新鮮味の薄さを感じるかもしれないが、そもそもホストガールを一新したことが最大の変化であり、新たな気持ちで臨めるものになっていると感じている。なにも考えず漫然とプレイをしていてハッピーエンディングを迎えるようなゲームではないが、かわいい女の子と会話したり歌って踊るカラオケステージを眺めて癒やされつつ、ほろ酔い状態から時折漏れ出すホストガールの悩みや本音に共感する……、そんな大人のエンターテイメント作品となっている。
ちなみにドリームクラブシリーズにまつわるよくある話題として、現実世界にも類似システムを取り入れた施設が存在するため、色眼鏡で見られることもあるが、本作はあくまでお酒の要素を取り入れ女の子との会話を通じた恋愛シミュレーションであり、一線を画したピュアな世界観のドリームクラブという場所であることは付記しておきたい。
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