イスラエルに拠点を置く新興企業StoreDotは、スマートフォンのバッテリを30秒で充電する技術の開発に取り組んでいる。ただし、近いうちに利用できるとは期待しないほうがいい。
StoreDotは現地時間4月7日、テルアビブで開催されたMicrosoft主催のカンファレンス「Think Next 2014」において、バッテリ充電装置の試作品を披露した。StoreDotは同社の技術を利用して、バッテリがほとんど空の状態のサムスン製「GALAXY S4」を30秒以内でフル充電する様子を紹介した。バッテリの充電に数時間かかる充電器が主流の時代に、この速さは驚異的だ。
StoreDotの試作品は現在サムスンのGALAXY S4にしか対応していないが、同社は目下、この技術を他の携帯電話にも対応させるべく取り組んでいるという。
StoreDotは当初、バッテリの充電に注力していたわけではない。同社が取り組んでいるのは、ペプチドを用いた半導体を開発することだ。ペプチドは有機アミノ酸で、結合するとタンパク質(プロテイン)が生成される。タンパク質になることから、ペプチドはボディビルダーの間で人気を集めており、またスキンケアの分野にも幅広く応用されている。このペプチドを、スマートフォンのバッテリ充電にも利用できるとStoreDotは考えている。
スマートフォンのバッテリ充電は、新興企業の間で非常に人気の高い市場となっている。目下の主流は、ワイヤレス充電技術の開発だ。
StoreDotの動画を見ると、今回の充電技術はワイヤレスではないようだ。それどころか、StoreDotの充電装置は現時点で標準的なノートPCの充電器と同じくらいの大きさだ。スマートフォンのバッテリに接続すると、充電装置のペプチドの働きによって、充電時間が劇的に短縮されるとStoreDotは述べている。
将来性のある技術のように思われるが、近いうちに実用化される予定はない。試作品は現在GALAXY S4にしか対応しておらず、StoreDotは対応機種の拡大と、さらに充電装置の小型化にも取り組んでいるところだ。同社は、2016年後半に消費者向け充電器の製造を開始したいと考えている。実際にいつ店頭に並ぶ可能性があるかは不明だ。
米CNETでは現在、StoreDotにコメントを求めているが、本稿執筆時点で回答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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