1台2役以上の卵型Bluetoothスピーカ--東和電子「TW-BT55ST」 - (page 4)

サイズ超の豊かな再生音、自分好みの音を追求できる個性も◎

  • 左右のスピーカの間隔を変えれば、自分にベストな音が見つかる

 では、いよいよ試聴に入っていきたい。さまざまな接続方法が考えられるが、ここでは筆者手持ちのAndroidスマホを使用して、普段使いの環境を選択した。音質調整やイコライザなどはデフォルトのまま、楽曲データはAACの256kbpsをBluetoothで飛ばす。本製品が対応するSBCコーデックにて、モノラル→ステレオの順でそれぞれ聴いてみた。

 ロックからEric Clapton「Change The World」。モノラルでは、歯切れの良いギターのカッティングが聴けるイントロやつぶれることなく温かみのあるボーカルが聴ける。ステレオに切り替えると、圧倒的に音場が広がってくる。モノラルでは少し奥まった感じの低音が開け放たれ、細部の音が耳に入ってくる。確かに小型とは思えない豊かな音が楽しめる。

  • 付属のUSBケーブルでPC接続して充電する。ACアダプターでも充電可能だ

 ヒップホップから、Eminem Feat.Rihanna「The Monster」。伸びやかなRihannaのボーカル、Eminemの勢いのあるリリックが低音の響きとともに入ってくる。この手のジャンルはモノラルでも十二分な鳴りが感じられる。ステレオに切り替えると、ステージ感が上がり、細やかなSEとボーカルの掛け合わせまではっきりと聴こえてくるため、曲に没入できる。

 テクノ/エレクトロから、MEG「ハナレタイノハ…」。モノラルでも迫力充分ではあるが、強めのボーカルと中高音が少し入り混じる印象。ステレオに切り替えると、音のレイヤーが幾重にも重なってきて、本来あるべきセパレーションがしっかり感じられる。ボーカルも程よいバランスで聴こえるようになり、左右の移動音を捉えられるため心地いい。

 女性ボーカルから、宇多田ヒカル「桜流し」。モノラルではボーカル自体はぼやけることなく聴こえる。ただし、歌声が前面に出てくるため、ほかの音が消されがちになる。ステレオに切り替えると、奥行きのある低音とともに空間が広がる。ピアノとボーカルがシンクロしつつ、それ以外の音も立ってくるため、曲の抑揚感を自然に楽しむことができる。

 「パズル&ドラゴンズ」など、スマホのオンラインゲームもいくつかやってみた。ゲームにもよるが、スマートフォンの音楽アプリよりも音量レベルが一段階上がる印象。モノラルではスマホ自身で音を鳴らすよりも格上のワイドレンジサウンドが聴ける。ステレオに切り替えると、迫力がぐっと高まるためボス戦などはぜひこちらで楽しんでほしい。アーケードゲーム感覚に近いサラウンド感覚が爽快だ。

 これまでの同社の卵型スピーカの高音質技術は、Bluetoothスピーカにおいてもきちんと継承されており、豊かな低音再生は健在。見た目以上に奥行きのあるサウンドが楽しめた。モノラルでは“ながら聴き”には十分すぎる音の迫力を有している。ただし、一旦ステレオで聴いてしまうと、圧倒的に広がる音場を体感できるのでこちらが断然おすすめだ。

 また、筆者の場合は木製のテーブルの上で聴いたのだが、置く場所によっても音は変化する。左右スピーカの間隔と合わせて設置する場所を変えることで、より自分好みの音を追求できるのも本製品の面白味の1つだ。シンプルなセッティングと簡単操作で、モノラルにもステレオにもなる「TW-BT55ST」。普通のBluetoothスピーカでは物足りない人は、特に見逃せない一品である。

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