一方、ブリリアントサービスの杉本氏は、コンシューマー市場でスマートグラスが普及する“トリガー”となるのは、ゲームなどのエンターテインメント市場と、アダルト(18禁)分野であると指摘。「(アダルト分野での)可能性は無限大。すべてのイノベーションの原動力となるのはエロティシズム」と語り、会場を笑わせた。
コンシューマー市場での可能性について杉本氏は、「当初は映画館や野球場など、閉ざされた空間でレンタルするシナリオが考えられる。現場で臨場感を味わうと同時に、(試合やコンテンツを楽しむための)情報やAR(拡張現実感)などを提供するといった使い方がある」と指摘した。
藤井氏も「日常の使い方であれば、例えば、顔認識機能を利用して、対面している人の情報を表示させるといった使い方もできる。『顔は覚えているけど名前を忘れてしまった……』といったこともなくなる」と、その活用シーンを披露した。
こうした便利な使い方がある反面、課題となるのはプライバシーである。先の「モバイル空間統計データ」でも実用化が発表されると、プライバシー懸念の声が広がった。亀津氏は「スマートグラスの利用ルールには、社会的な合意が必要」とコメント。モデレーターを務めた博報堂DYメディアパートナーズ ビジネスディベロップメント ディレクターの上路健介氏も、「スマートグラスは登場したばかりであり、(利用しない人は)『何をしているのか……』といった不安もある」と、現状を説明した。
もう1つの課題は、価格とバッテリ駆動時間である。杉本氏によると、現時点では、バッテリ駆動時間は短く「コンシューマー市場で普及するには、改良の余地がある」という。
最後に、スマートグラスが普及するのに不可欠なポイントとして、藤井氏、杉本氏、亀津氏は、「スマートグラス開発者コミュニティ(アライアンス)」を挙げた。「スマートグラス・アプリケーション市場の育成が普及の要となる」というのが、全員の一致した見解だ。
杉本氏は「スマートグラスはハードもソフトも今までにないものであり、(企業などが)単独で開発しようとすれば、開発者の負担は大きくなる。情報を共有し、そこに集う人たち全員でスマートグラス市場を作り上げるという発想が大切」との見解を示し、セッションを締めくくった。
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