朝日新聞社と博報堂DYメディアパートナーズ、博報堂の3社は3月25~26日、ウェアラブルをテーマにしたカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo」を東京ミッドタウンで開催している。25日午前中に行われたパネルセッション「スマートグラスの行方」では、スマートグラスのハードやソフトを開発するキーパーソンらが集い、スマートグラスの未来や理想像について語った。
パネルセッションに登壇したのは、Vuzix Corporationでエンタープライズ/メディカル向けのスマートグラス開発に従事している藤井慶一郎氏、スマートデバイス/ソフトウェア開発を手掛けるブリリアントサービス代表取締役の杉本礼彦氏、野村総合研究所(NRI)上級研究員の亀津敦氏だ。
冒頭に亀津氏は、ウェアラブル・デバイス(スマートグラス)市場について、「現在は黎明期だが、産業としての期待は大きい。特にヘルスケア分野や今までデジタルデータを取得することが困難だった作業現場などでは、“人に近いセンサ”としてビッグデータ収集のツールとなる」と指摘。特にBtoB分野での普及が期待できると語った。
藤本氏も、「今まで(デジタル)デバイスが持ち込めなかった作業現場などでの活用が期待される」と指摘する。例えば、タブレット端末片手に行っていた工場での製品管理や製品の品質管理などが、「(スマートグラスで見ることで)製品情報を記録したり、基幹システムに格納されているデータと照会したりできる」と、その可能性を説いた。
両氏ともスマートグラスの普及は、コンシューマー市場よりもエンタープライズ市場のほうが早いと予測する。その理由について亀津氏は、「エンタープライズはスマートグラスで実現したい機能が明確であり、機能が限定されていても、業務で必要であれば導入する。一方、コンシューマー市場では、(スマートグラスで提供される)技術を活用したければ、別途ハードウェアを用意する必要がある」と指摘した。
亀津氏は、NRIで取り組んでいるスマートグラス・アプリの開発事例として、流通分野および、マーケティング分野での活用を紹介した。流通分野では、近距離無線通信の「iBeacon」とアプリを連携させ、消費者が店舗へ来店したら自動的にクーポンを発行する仕組みなどが想定できるという。こうした仕組みはスマートフォンでも利用できるが、その場合には利用者がアプリを立ち上げてクーポンを取得する必要がある。一方、スマートグラスならそうした手間から解放される。
また、マーケティング分野では、NTTドコモが開発した「モバイル空間統計データ」と連携させ、街の風景と人々の行動統計データを重ねることで、新たなマーケティング支援が考えられると指摘した。
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