「自分とはこういう者だから」と自分のことを殻に閉じ込めてしまうのはよくあることだ。殻に閉じこもっている、と自覚することは難しいかもしれないが、新しいアイデアが浮かんでこなくなったり、新しいことに挑戦しなくなったりしてきたら、注意が必要かもしれない。自由な発想ができなくなっていると感じた時に効くのは、どのようなことだろうか。
著者のエリック・ウォール氏は、企業で講演をする者でありながら画家でもある。ビジネスのみ、あるいは芸術のみにこだわる偏った考え方を捨てて、ビジネスとアートを結びつけるクリエイティブな考え方を推奨している。本書では「いつもどおり」の思考過程から抜け出し、数字や枠組みに捉われないようになるために、さまざまなヒントを提示している。たとえば「直感力」の磨き方。直感というと根拠のない単なるカンと思われがちだが、実はそうではない。そしてこの直感力のような説明しにくい感覚的なことを、ウォール氏は論理的に説明してくれるので、もやもやとしていたことが腑に落ちる。
ほかにも不安に思うことにチャレンジしたり、従来のやり方とは違うやり方でやってみることを勧めたりしているが、いずれも自分1人で考え込んでいたのでは、目を逸らして見ないようにし、無難な選択でやり過ごすことを選択してしまいそうなことばかりだ。自分の中の創造力を発揮して、次の一歩を踏み出すことを願う人には、本書ほど最適な本はない。
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