2011年3月11日の東日本大震災から間もなく3年が経とうとしている。グーグルは3月4日、震災以降に同社が提供してきた復興支援サービスや被災地での取り組みを振り返るとともに、新たな施策を発表した。なお、2012年から東京オフィスは米国以外では初となる災害対策の拠点となっている。
グーグルでは震災以降、(1)災害対応、(2)デジタルアーカイブ、(3)ビジネス支援の3つを柱に復興支援を進めてきた。まず災害対応では、震災直後に安否情報を登録して確認しあえるサービス「Google パーソンファインダー」を公開した。同サービスには約14万件の安否情報がアップロードされたのだという。現在は79カ国語に対応している。
同社によれば、パーソンファインダーの機能は日本が中心となって開発しているそうだ。3月4日には、新たにNTTレゾナントが運営する企業や自治体の安否情報を検索できるサイト「J-anpi ~安否情報まとめて検索~」に登録された情報をパーソンファインダー上で検索できるようになったことが発表された。
また、パーソンファインダーのSMS(ショートメッセージサービス)版を提供することも明かされた。パーソンファインダー宛に探したい相手の名前を送ると、安否情報がテキストで送られてくる仕組み。水害のあったインドや、台風の被害が大きかったフィリピンなど、通信インフラが整っていない地域ではすでに導入されているという。
デジタルアーカイブでは、津波の被害をうけた岩手県や宮城県、避難指示区域を含む福島県内の沿岸部の震災前後のストリートビュー画像を公開した。2011年7月に開始した東日本大震災デジタルアーカイブプロジェクトの一環として進めているもので、「現在では被災地のほぼ全域をご覧いただける」(グーグル製品統括部長の徳生健太郎氏)という。
さらにビジネス支援では、東北地域の経済復興を支援するプロジェクト「イノベーション東北」を2013年5月に発足した。行政やNPO団体など現地のコーディネーターと協力しながら、被災地の事業者が抱える課題を吸い上げ、それぞれの課題を解決できる日本全国のサポーターとマッチングさせるプロジェクトだ。
プロジェクトの発足から約9カ月で193社が参加し、全国から集ったサポーターは224人にのぼる。また、431件の支援要請プロジェクトがあり、そのうち276件が実際に支援されているという。たとえば、気仙沼の女子高生が考案した「なまり節ラー油」のプロモーション支援や、水産加工業者の資格取得などにイノベーション東北が活用されているそうだ。現在は、リクルートキャリアや日本財団など全25団体が同プロジェクトを支援している。
徳生氏は、一連の施策について「決して2011年3月の時点でロードマップがあったわけではない。現地の方々とともに試行錯誤をしながら作っていったものがほとんどだ」と説明。続けて「(これらの施策は)本来は不必要になってほしいものだが、それをいま止めるわけにはいかない。情報に携わる会社であるグーグルとして出来ることや、やらなければならないことはまだまだ残っている」と語り、4年目以降も復興に向けた取り組みを続けていきたいとした。
なお、グーグルは3月5~11日まで、同社が入居する六本木ヒルズの大屋根プラザで、写真やストリートビューで震災と復興の3年間をたどる展示会を開催する。
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