リクルートホールディングス(リクルート)は、オープンソースのモバイルOS「Firefox OS」の普及に向けて、Mozilla Corporation(Mozilla)と協働することを発表。第1弾としてカメラアプリ「cameran」の提供を開始した。
なぜ、リクルートはMozillaと組むことにしたのか。2月24~27日までスペインのバルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2014」(MWC)に参加しているR&D戦略室室長の岡本彰彦氏に、その狙いを聞いた。
リクルートはFirefox OSの普及に向けたMozillaとの協働にあたり、3つの取り組みを実施するという。1つはグローバルマーケットの対応だ。Mozillaの協力の下、iOSやAndroid向けに提供している蜷川実花さん監修のカメラアプリ「cameran」のFirefox OS版を2月24日にリリースしている。3月には写真や動画を共有するアプリ「SeeSaw」をリリースする予定だ。
2つ目は、リクルートがすでに展開している「ホットペッパー グルメ」や「じゃらん」など日常消費領域のアプリを、Firefox OS向けに提供すること。そして3つ目は、リクルートが主催しているアプリ開発コンテスト「Mashup Awards」などを通じて、Firefox OSやHTML5に対する啓蒙や支援をしていくことだという。
今回、リクルートがFirefox OSへコンテンツを提供することになった背景には、岡本氏が所属しているR&D戦略室が、オープンイノベーションを用いて企業とエンジニアを結び付ける「メディアテクノロジーラボ」を実施していたことが挙げられる。同ラボではオープンテクノロジーの普及をミッションとしていることから、Mozilla Japanとコミュニケーションをとるうちに、今回の協働に至ったそうだ。
またリクルートが、最新のOSに対応するアプリをいち早く提供する開発方針を貫いていることも、協働に至る理由の1つになっているようだ。「従来手掛けてきたPCのウェブの世界では、ユーザーは同じジャンルの競合サイトを複数利用する傾向があった。しかしスマートデバイスの場合、一度気に入ったサービスだけを使い続ける傾向がある。そのため、サービスを早い段階から浸透させ、高い頻度で利用してもらいたい」と、岡本氏は狙いを語る。
リクルートのFirefox OS向け第1弾のアプリにcameranを選んだ理由については、「中国や台湾、香港などでランキング1位を獲得した」(岡本氏)ことなど、海外で高い支持を得ており、外国人にも価値が伝わりやすいことを挙げる。
またもう1つの理由として「写真にエフェクトをかけるフィルタ機能をHTML5で実装するのは、難易度が高い」ことを挙げる。カメラフィルタアプリはiOSやAndroidでは定番アプリの1つとなっている。しかし、実装の難しさからFirefox OSのアプリマーケット上にはまだ存在しなかったことから、あえてチャレンジすることにしたそうだ。
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