GoogleはMotorola Mobilityを売却したとき、同社のAdvanced Technology and Projects(ATAP)グループは手放さずに「Android」部門の傘下に編入した。その理由の少なくとも一部が判明した。それは「Project Tango」だ。
Project TangoはATAPによる野心的な試みで、スマートフォン所有者が現実世界の中を歩いているときに、リアルな3Dマッピングを行い、仮想体験を作り出す機能をスマートフォンに搭載することを目指している。もちろん、Project Tangoにはそれ以外の要素も含まれている。ATAPは米国防高等研究計画局(DARPA)にルーツを持つスカンクワークス(極秘開発)部門で、Motorola Mobilityから分離された。
Tangoに関して重要なのは、それが最先端のテクノロジに取り組むかなり多くの企業の専門的知識を集約するコラボレーションプロジェクトだということだ。TechCrunchの報道によると、これには、カスタム設計されたアーキテクチャを備えるMovidiusの省電力映像処理チップ「Myriad 1」が含まれるという。Myriad 1は、スマートフォンのバッテリを大量に消費することなく、コンピュータビジョンに必要とされる複雑なアルゴリズムを処理できる。これは、現行のスマートフォンチップでは不可能だ。
Googleによると、Tangoは5インチの「Android」スマートフォンプロトタイプとして存在しており、「デバイスの3Dモーションを完全に追跡し、同時に周囲の状況のマップを作成する」ことができる、カスタマイズされたハードウェアとソフトウェアを搭載している。同社が提案した用途には、家具を買いに出かける前、スマートフォンを持って部屋の中を一周するだけで家の寸法を測ることができるといった日常的なものから、不案内な建物の中で視力障害者を支援するといった有益なもの、廊下を仮想現実ゲームスペースに変えるといった軽いものまで、さまざまなものが含まれる。
Googleは数カ月以内にTangoを開発者に提供する予定で、まずは3月中旬までに200台のデバイスが配布される。開発者はProject Tangoのウェブサイトで、自分の提案をATAPグループに提出することができる。
Tangoのセンサは毎秒2億5000万以上の3D計測を行い、そのデータを使って、スマートフォンの周囲の状況の3Dモデルを構築する。TangoにはカスタムAPIが含まれており、開発者はスマートフォンの位置や向き、奥行きにアクセスすることができる。AndroidアプリケーションはJavaとC++、さらに「Unity」ゲームエンジンで記述することが可能だ。GoogleはProject Tangoについて、プロトタイプであり「出荷段階の完成品」ではないと注意を促している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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