これまでオリンピックで無線機器は、競技運営や選手間、母国とのコミュニケーションのために利用されてきた。スマートフォンになってカメラが搭載され、選手などが写真を撮ったり、観客がソーシャルメディアに共有したりするツールにも変わった。そして、我々が楽しむメディアとしての活用も進んでいる。
さらにもう1歩、踏み込んでの活用が見られる。それは競技に勝つための活用だ。
米国スキー代表チームは、AMPのiPhone向けアプリを活用し、競技に適した身体能力を高めるための計測、メニュー作り、マネジメントを行っている。スポーツの経験や知識とアプリ開発がスマートフォンやタブレット上で交わることによって、より効率的に、選手ひとり一人に特化した管理を行うことができるようになっている。
また、BostonにあるUbersenseはスマートフォンを使ってフォームなどを比較することができるアプリを無料で公開している。同社が公開したビデオでは、米国のボブスレー・スケルトンチームがiPadとアプリを活用している事例を紹介している。ビデオの中では、選手のスタートダッシュや滑走中のフォームを記録し、コーチと選手でその映像を見ながら綿密に改善していく様子が描かれていた。
それまで、その場で再生できるビデオカメラを利用してきたが、iPadでの撮影と、大きな画面に書き込みながらの映像のプレビューは、より直感的に選手へのアドバイスを与えることができ効率的だ。また選手自身がそうした分析をこまめに行うことで、よりイメージが洗練されていく。
冬季オリンピックではないが、チームスポーツでは、選手の特性と得点パターンといったデータを活用するツールとしてタブレットが選ばれている。日本のチームでは、「データバレー」で成果を上げている女子バレーボールチームだ。眞鍋監督は試合中iPadを手に持ちながら、スタッフがリアルタイムに入力する目の前の試合のデータを見て、作戦を与える手法で成果を上げている。
非常に面白いのは、映像やトレーニングに使うツールが、それまではスポーツ専用に開発されたものを利用してきたが、アスリートが現場で使っているものが、我々が観戦する際に利用する普通のスマートフォン・タブレットと同じであるという点だ。それだけ汎用性の高いデバイスとなっており、ソフト開発がさらに重要性を増していることの裏返しでもある。
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