1月にIEEE 802.11acの正式版が登場した。以前から家でノートPCを使っている人には家に無線LANがあるのは当たり前かもしれないが、導入していなかった世帯でも、スマートフォンの容量制限やタブレットの使用などから、必要に迫られて検討している人もいるようだ。
すでに家に無線LANがあるという人も、最近、IEEE 802.11acの正式版が登場したことにより無線LAN機器の買い替えを検討してもいい時期にある。
1年ほど前から正式策定前のドラフト規格として、11ac製品は店頭に並んでいたが、正式な11acとなったのは2014年1月8日から。正式な規格といってもドラフト規格がそのまま採用されたため、最終のドラフト規格のものであれば、そのまま正式版となる。ドラフト規格時期に購入したものが正式版であるかどうかは、メーカーがアナウンスしているので確認しておきたい。店頭では外箱に「正式版対応」などのシールが貼ってあることもある。
そんな正式版となった11acだが、最新の11ac機器に更新すると何がよいのだろうか。11acの無線LANの通信速度は最高で6933Mbpsまで規格ができている。このうち、現在、1300Mbpsまでの製品を購入できる。
なお、11acならではの高速で通信するためには、親機側でなく接続する端末側の対応も必要となるが、最新のスマートフォンでは11ac対応が徐々に進んできている。例えば2013年5月に、ドコモが発売したAQUOS PHONE ZETA SH-06Eは既に11ac対応だ。各社の秋冬、春モデルの多くで採用されており、PCも、ハイエンドモデルを中心に、東芝は発表した2014年春モデルは、全機種が802.11acに対応するなど、徐々に広がりを見せている。
実際に通信速度を計測してみると、4年前に購入した当時最新のIEEE 802.11n対応の無線LAN親機と通信した場合に比べて早くなっている。同じ5GHz帯で計測したが、11acの104Mbpsに対して11nは95Mbpsとわずかの差となった。実際の使い心地はなんら変わりがないのでは、と思うかもしれない。親機の至近距離で計測した場合は確かにそうだったのだが、少し離れた場所で比較するとどうなるか。壁材などの遮蔽物を含めて15mほど離れて比較した結果、11acが36Mbps、11nが19Mbpsと倍近く開く結果となった。
つまり、条件の悪い場所で差が出るということは、今まで無線LANが安定しないと悩んでいたユーザーへの解決策になり得る。11acは5GHz帯を使うことになっているため、よく使われる2.4GHz帯のような混雑は少なく、安定した通信という大きな意味がある。
一方、子機側が11acに非対応という場合でも、親機が11acということで差が出ることもある。11acの技術は、従来よりも同じ周波数幅の中でもデータ容量を多く詰め込めるためデータ通信速度が上がることがある。機器自体の送受信性能も従来より良くなっており、従来方式の子機と通信しても切れにくくなったり、今まで使えなかった場所で使えるようになったりということもある。
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