無線LANの導入でいちばん面倒なのは暗号キーの設定だ。分かりやすいワードを設定したら意味がないため、桁数の多い乱数を設定していることが多いが、子機での入力が面倒になることもある。しかも、パスワードと同様の扱いなので、機器によっては入力した文字が全部●(黒丸)で確認しにくいため、キーが適合せず、つながらなかったというケースも多いかもしれない。
しかし、今は統一した自動設定の「WPS(Wi-Fi Protected Setup)」があるため、キーが複雑でも間違うことなく簡単に設定が可能だ。WPSに対応した機器は多く、最新のWindows 8搭載PCなら別途ソフトウェアを入れる必要もない。スマートフォンもWPS対応は進んでいる。従来であれば自動設定をするために別途ソフトウェアをインストールする手間がかかるなど、自動設定のメリットが薄れる状況だったが、それも改善されている。
以上のように最高速度だけでなく、実際に利用した際に問題となる安定度や使える範囲が改善されていることが分かる。
また、電波の強さは問題なくても、なぜかつながらなかった人や、スマートフォンなど暗号キーを入力しにくい機器の接続をためらっていた人も、WPSによる自動設定ならば問題ないという人も多いだろう。
一方、従来から無線LAN機器を問題なく使っている人でも、11acが登場した今、買い替えの良い機会であることに違いはない。仮に現状に全く不満はなくても、交換したことによって、より快適になる可能性があるからだ。
特筆したいのは11ac対応ということは必ず5GHz帯に対応しているということになる。もし、5GHz帯に対応したスマートフォンやPCを使っている場合、5GHz帯を使わないことは本当にもったいない。2.4GHz帯よりも使える周波数の幅が広く使っているユーザーが圧倒的に少ない。デメリットにもなり得るのだが、届く範囲が狭いため混雑が余計に少なく不必要なほど電波が拡散しないので万一の際のセキュリティという面でも有利だ。
すでに5GHz帯に対応した親機を使っている場合でも、前述のとおり使える範囲が広がったり安定度が増す場合もある。
なお、交換が面倒と考えている人に提案だが、無線LAN機器を交換するとき、スマートフォンやタブレットなどの端末側(子機)の設定が面倒という声を聞く。一般的に無線LAN機器はSSIDや暗号キーの設定は自由にできる。以前使っていたものと同じSSIDと暗号キーを新しい機器でも同一に設定すれば端末側の設定変更は不要だ。手間は新しく購入した親機側の設定だけとなる。
ただしこれは現在のセキュリティ設定が最新のWPA2/AESを使っている場合のみ。未だにWEPやWPAを使っている場合はこれを機に最新のセキュリティ設定に変更することを強くおすすめしたい。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する