スマホアプリ・ビジネスの新規性は、ほぼ消えた。2013年までにビジネスモデルは出揃い、集客から収益化に至るさまざまな手法は、概ね確立している。そして端末は2013年9月のNTTドコモによるiPhone販売開始によって動向は決した。この流れの中で2014年以降の日本のアプリビジネスの本質を考えてみたい。
フィーチャーフォンはインターネットに接続されてはいたが、日本独自の“ガラケーインターネット”を形成して成長してきた。ガラケーインターネットは、フィーチャーフォンでしか見られないように端末属性による閲覧制限をかけ、そうしたウェブサイトが大手を振って闊歩するコンテンツを大量に生み出した。スマホ以前のケータイ・インターネットは、まさしくガラパゴスだった。それまでPCの世界だったインターネットは2013年、スマホへの世代交代でインターネットは普通の人の手のひらに載ったのだ。
PC時代はユーザーが動かない「静」のインターネット、スマホ時代はユーザーが動き回る「動」のインターネットだ。インターネットがいつでもどこでも手軽に人々の手の中に行き渡り、電話を拡張したネット端末であるフィーチャーフォンからPCと同等の機能性と拡張性を持ったコンピュータへと進化した結果、電子産業とサービス産業、それら周辺の社会構造までも変わり始めた。その変化に対応して自らを変革した組織は興隆を極め、変化を拒んだか別の流れに賭けた組織は静かな退場を迎えている。
2014年はラストチャンス、市場構造変化に伴う最後の「ガラガラ・ポン」だと言える。ここで自らの市場をつかんだところが今後5年~10年間のスマホ全盛期(スマホがあたり前の時代)の利益をつかみ取っていくだろう。
アプリビジネスは大きく3つのパターンに集約される。1つ目は「ハリウッド型」の大型タイトルだ。大手ゲーム会社などの有名タイトルや高額な開発費を投じた新作である。これらは、宣伝広告費も大量投下されるなど派手な動きとなる。1本1000円前後などの売り切りモデルや、無料ダウンロードからアイテム課金モデルなどで収益を得る。2つ目は「インディーズ型」タイトルだ。
もう1つは、個人や数人の会社やグループがアイデアで勝負するアプリだ。ジャンルはゲームから実用ツールまで幅広い。1本100円前後の低価格の売り切りモデルか、完全無料アプリで、収益はアプリ内の広告表示で得るものが多い。
3つ目は「テレビドラマ型」だ。これは企業が無料アプリを提供するもので、クーポン配布や商品注文を目的とする直接的な購買促進アプリから、ユーザーに楽しんでもらうことを主眼に置き、様々なツールやゲームを提供しブランドに親しんでもらう方向性になりつつある。
ビジネスモデルだけでなく集客も大きくは3パターンに分けられる。1つ目は「広告」だ。当然と言えば当然だが、ネット広告からテレビCMまで、その種類は豊富にある。
2つ目は「自社送客」だ。これは一旦自社アプリの顧客となったユーザーを別の自社アプリに送客してユーザーを回遊させる手法だ。ゼロから新規顧客を獲得する場合に比べて顧客獲得単価は低く、自社のアプリと相性の良いユーザーを多数囲い込むことができる。
3つ目は「自然流入」だ。これはアプリのニュースや話題からダウンロードに結びついたり、ユーザーの興味から関連語の検索によってダウンドードされるケースだ。特にTwitterやFacebook、LINEなどのSNS経由でアプリの存在を知りダウンロードに至るケースも多い。
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