アプリそのもののジャンルはさまざまだが、ビジネスはこれらのパターンの組み合わせだ。そして稼いでいるアプリには一貫した共通項がある。「リアルタイム運用」だ。
単一のアプリだけでなく、その組織体が実施する全てのビジネスに溶け込む形で、毎日、毎時間、昼夜問わず24時間の集客と集客後のプロセス、ゲームであればプレイ中の出来事のすべてにおいて提供者たる組織体がユーザー満足度を高め、自社利益を最大化する仕事をすることだ。
アイテム課金型のアプリでは運用こそが利益の源泉だ。アプリ内のイベントやステージ追加、問題が発生した時の即時収束化など幅広い。これらはゲーム会社を中心に興隆を極めている。
後手に回っているのが集客のリアルタイム運用だ。何かの話題が出た瞬間に、自社にとって過去のアプリであっても、その存在を知らないユーザーにとってはいつでも新作である。
この時を逃さずダウンロードを促進するための追加プロモーションを「今すぐに」始められるかどうかがカギだ。小売店であれば、あたり前の行動である「雨が降ってきたら、倉庫から傘を出して売る」ことが、スマホアプリ・ビジネスではできていないところが多い。実は日本のビジネス組織にある手順や権限と密接な関係がある。特に承認手続きと予算決裁の時間差だ。
リアルタイム運用では、たとえば数分から数時間内に何かを行なう決定を下す。決定には予算執行が伴う。この時間差に1週間、場合によっては1カ月以上かかっているところも珍しくない。これではチャンスを逃してしまうことになりかねない。
見ていると、「雨が降ってきたから傘を売ったら良いかもしれません」、というパワーポイントを作って会議のアポイントを打診している会社が多い。これではダメだ。傘を売り始めた時には雨は去っている。組織や承認決裁手順の最適化がスマホアプリ・ビジネスの収益拡大のカギなのだ。
全てをリアルタイムに。2014年以降のスマホが形成する「動」のインターネット時代のキーワードと見ている。
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