ITビジネスのオンラインメディア「CNET Japan」を運営する朝日インタラクティブは12月10日、マーケティングを軸にしたビジネスイベント「CNET Japan Live2013 ~全社員マーケター時代のビジネス戦略~」を開催した。ここでは、Premier Trackで行なわれたパネルセッションの内容をお届けする。
「食ビジネスの訴求とユーザーコミュニケーション」と題したパネルセッションには、カカクコム取締役 食べログ・新規事業担当の村上敦浩氏、スマートキッチン取締役COO兼セールス・マーケティング本部の吉田裕明氏、クックパッド執行役CTOの橋本健太氏、モデレーターに朝日インタラクティブCNET Japan編集長の別井貴志が登壇した。
2005年3月に公開された飲食店の口コミサービス「食べログ」は、現在では月間5164万ユーザー、月間11億8000万ページビュー、2013年の7月から9月までの売上は17億3000万円にまで成長しているという。
「スマートキッチン」は食品の定期宅配サービスで、ローソンとヤフーの合弁会社が運営している。2013年1月にサービスを開始したばかりということもあり、現在のユーザー数は7万人。“忙しいママ”をターゲットに、簡単で便利に美味しい体験を提供することを目的にしているという。
1998年3月に公開された「クックパッド」は、月間4000万ユーザーに利用される料理レシピサイトだ。2013年6月には有料会員数が100万人を突破し、会員事業が売上の6割を占めているという。現在はスマートフォンからのアクセスがPCを上回っており、ユーザーのレシピ投稿はすでに160万品を越える。
3社それぞれが、食に関連するビジネスを展開しているが、サービスを提供する際のこだわりとは何か。クックパッドの橋本氏は「ユーザー視点が大事」と語り、ユーザーの感情レベルの欲求にどのように応えるかを考えていると説明する。「レシピを探したい人の目的はなにか。レシピ作者の投稿のモチベーションはなにか。すべてのユーザーが幸せになるものを考えてサービス設計をしている」(橋本氏)。
レシピ投稿は、その工程を撮影しながら料理を作らなければならず作業が非常に大変だが、こうした苦労を少しでも軽減するためにはどうすればいいか。同社では、定期的にユーザーインタビューなどを実施しながら、よりよいユーザー体験を実現するための研究をしているそうだ。
スマートキッチンも「献立を考える、買い物に行く、料理をする」といった、日々の生活で多くの働く女性が苦労していることを解決するために、常にユーザー視点を持つようにしている。具体的には働くママを商品開発に起用して、社員全員がユーザー視点が持てる体制を作っていると吉田氏は語る。
「製品のリリース前には、全社員で投票し製品評価をする。その評価を参考にして、場合によってはリリースを取り下げることもある。多くのユーザーに満足してもらうための徹底さが必要」(吉田氏)。
食べログも、ユーザー視点にこだわっているという。それまでのグルメサイトは企業視点であったと村上氏は語り、掲載店舗、店舗情報、検索結果の3つを徹底したことが、既存のグルメサイトとの差異化であったと語る。
「すべての飲食店を合計すると75万店舗あるが、従来のサービスは有料で契約した店舗しか掲載されていなかった。食べログはすべての店舗を無料で掲載している。店舗情報も、既存サイトは店舗と契約しているためPR文になりがちだが、食べログはユーザーが投稿した口コミや写真を元にしている。検索結果も、ランキング順によってユーザーにとって良いお店を提示している」(村上氏)。
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