続いて、いかにサービスの認知度を上げて、使ってもらうかという話に。食べログの村上氏は「お金をかけずに効果的に知ってもらうように知恵を絞っている」と語る。たとえば、まだSEOが一般的になる前から、すべての店舗名で検索1位が取れるようにSEOを徹底したり、食べログのロゴが入った「話題のお店ステッカー」を作成して、口コミのある店舗に掲載してもらったりと、地道な営業を通じて店舗との関係性を構築していったという。
スマートキッチンは約2万3000商品を扱っているが、これらの商品をユーザーに把握してもらうために、オンラインだけでなく紙のカタログを作って配布するなどの施策を行っていると吉田氏は説明。しかし、オンラインとオフラインの施策を取りつつも、最終的にはユーザー同士の口コミが重要だと語る。「オンラインとオフラインをシームレスに連携させるために、どのように融合を図っていくかを心がけている」(吉田氏)。
ユーザーが能動的にサービスを活用するためにはどうすればいいか。ユーザー投稿やレビューで成り立っているサービスは、常に考えなければいけない要素だ。クックパッドではレシピを投稿するユーザーがリピートしてくれるために、料理を参考にしたユーザーからの「ありがとう」など、フィードバックができる仕組みを作ったという。
「投稿されたレシピを通じて料理を再現した人のために『つくれぽ』というサービスを作り、レシピを参考にして作った人が写真を撮って作者にフィードバックする仕組みを作った。これによって、美味しかったという感動が伝わり、よりレシピ投稿が楽しくなる」(橋本氏)。正しいレシピが掲載されるように、手順が抜けているレシピに対して作者に提案したり、修正をするなどのコミュニケーションを通じて、良質なレシピが掲載される体制を作っているそうだ。
食べログの村上氏は、近年ではスマートフォンのカメラの性能が上がってきているため、投稿される写真のクオリティも高いと話す。また、レビューを1つ1つ目視で確認しながら、よりよいレビューとなるようにユーザーとコミュニケーションをしているという。「食べログでは機能改善の掲示板を一般公開し、ユーザーからの意見を通じて随時対応している。対応したこともユーザーにフィードバックし、常にオープンでいることでユーザーに対しての信頼を高めている」(村上氏)。
またアジャイル開発による機能改善で、ユーザーとともにサービスを作り上げている。さらに、全国のトップレビュワーとの交流の機会も設けている。「地元の人が、県外の人に対して自慢のお店に来てもらいたいという意識が働いている。レビュワーとのオフ会を通じて意見を集約している。また、レビュワー同士の交流も生まれるなど、つながりから結束力が生まれて口コミの質も良くなってくる」と村上氏は語る。こうしたオンラインとオフラインの地道な積み重ねが大事だという。
オープンレビューは、スマートキッチンも心がけている施策だ。社内でのリリース前の評価だけではなく、300人ほどのモニターユーザーにも発売前の商品をレビューしてもらい判断する。「あなたなら買うか、という視点で判断してもらっている。顧客を巻き込むことで一体感を作り、サービスに対しての能動的な関わりを作り、一緒に良いサービスを作る仲間であるようにしている」(吉田氏)。
良質なサービスを作るためには、どのようにしてユーザーを巻き込んでいくかを意識する。それによってユーザーが引き寄せられ、さらにサービスの質が上がっていく。食は“命に関わるもの”だからこそ、徹底したユーザー視点に立つことが大切だと3社ともに語った。
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