NHKは12月18日、放送と通信の連携サービス「NHK Hybridcast(ハイブリッドキャスト)」に関する記者説明会を開催し、12月16日に開始したスマートフォンやタブレットなどと連携した“セカンドスクリーン”向けサービスの詳細を語った。
ハイブリッドキャストは、放送と通信を連携させることでより充実したコンテンツを提供すべくNHKが開発した技術で、9月からサービスを開始。当初は通信経由での情報取得によるデータ量の増大(データ放送と比べて)などを特徴としていたが、今回、スマートデバイス向けのサービスを開始したことで新たなステップに入った形だ。
新サービスの基本スタイルは、大画面のテレビと手元のスマートデバイスとの連携だ。モバイル端末側でアプリ「Hybridcastランチャー」を起動すると、放送内容の進行にあわせた関連コンテンツが手元のスマートフォンやタブレットで楽しめる。
12月20日の深夜(24時10分~25時10分)に総合テレビで放送予定「双方向クイズ天下統一」では、データ放送などとあわせてハイブリッドキャストによる番組連動双方向サービスを実施。ハイブリッドキャスト対応テレビであれば、従来リモコンのボタンで行ってきた選択がスマートデバイスでできるほか、番組キャラクターが手元の端末上に登場して喋ったり反応したりするなどのサービスが追加される。
ポイントは「大画面を大画面のまま楽しめるようにすること」(担当者)。データ放送ではL字型にスペースを割いて情報を提供するためにテレビ本線画面を縮小する必要があったが、情報の多くをスマートデバイス側に移すことでそれを回避。また、視聴者が手元の画面だけに気を取られ過ぎないよう、クイズ回答選択時には手元画面にいたキャラクターがテレビ側に飛んでいくなど工夫がなされたようだ。
特定番組との連動ではなく、常時利用できるセカンドスクリーン向けサービスとして用意されたのが「キーワードコネクト」。番組に関連したキーワード(人物名・地名など)を検索候補ワードとしてスマートデバイス上に次々と表示し、気になった言葉を検索しやすくするためのサービスだ。
キーワードは放送番組の字幕データ、EPGデータなどから名詞のみを無作為に抽出して用意する形で、取り立ててNHKが特定ワードをプッシュしてくることはない。現状、ニュースやスポーツ中継など生放送番組については字幕の安定性などの面から未対応としているが、「需要や要望に応じて」(担当者)今後対応することも検討するとしている。
その他、放送中番組のウェブサイトをワンプッシュでモバイル端末上に呼び出せる「番組サイト閲覧サービス」も開始している。
セカンドスクリーン向けサービスとは別に、大画面向けコンテンツ「みのがしなつかし」も新たに開始した。過去のニュースや番組ダイジェストなど、1~3分程度のビデオクリップ約800本を用意し、視聴者がいつでも見られるようにするもの。放送中番組に関連した動画をレコメンドしてくれるほか、放送年や番組ジャンル、地域などの選択から動画検索をかけることもできる。
また、2014年の冬季五輪ソチ大会では「Hybridcast SKIP(仮)」なる新サービスを準備。競技中継中に番組を頭出ししたり、早送りや巻き戻しで特定画面を呼び出したりといったタイムシフト視聴が可能になる。
いずれのサービスも、映像を従来の放送波ではなく通信経由で取得して再生している点が特徴。「みのがしなつかし」については、将来的にVODサービス「NHKオンデマンド」との連動も視野に入れた実験的取り組みと見ることもできるようだ。
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