近所の個人経営の書店が閉店し、大手チェーンに変わった途端、品ぞろえに個性がなくなり、以前の書店にはあったマニアックな雑誌が置かれなくなった。ベストセラーや売れ筋の雑誌しか置かなくなった書店からは、次第に足が遠のいていった。そんな経験をしたことのある人は少なくないだろう。本を取り巻く環境は、どのように変わろうとしているのか、本書には1つの面白い試みが披露されている。
著者の内沼晋太郎氏は、「ブック・コーディネイター」という少々聞き慣れない肩書きを持つ。過去の経験を生かして、本そのものや本屋にまつわる仕事をしており、現在は下北沢に「B&B」という本屋を開いている。この本屋の名称は「BOOK & BEER」からきているそうで、まさにビール片手に本を読めるのがウリなのだという。かなり厳しい状況にある街の本屋のあり方を見直し、「これからの街の本屋」をコンセプトに作られたB&Bでは、おいしい飲み物が飲めるだけではなく、人と人とを結びつけるようなイベントを定期的に開催している。
そう聞いただけで、ワクワクしてくるのは私が本好きだからだろうか。書店のあり方は変わりつつあるが、本はなくならない。さらに、本を楽しむためのチャンネルが増えているということは、本書の表紙にあるとおり「本の未来は、明るい。」のだ。
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