Salesforce.comの年次カンファレンスで開催されるハッカソンは、例年であればカンファレンスの喧噪やパーティーを横目に実施されるかなり地味なイベントである。しかし、「Dreamforce 2013」で新たに登場した「Salesforce1 Hackathon」は審査結果の発表後に世間の大きな注目を集めることになった。
このハッカソンで優勝し、100万ドルの賞金を手にしたチームには、Salesforce.comの元従業員が参加しており、既存コードの流用もあったと報じられたため、同コンテストに対して批判の声が寄せられていた。
Salesforceの最高法務責任者(CLO)Burke Norton氏さえも、米国時間12月2日付けの声明で、CRM大手の同社が「既存コードの利用について、コンテストの参加者らに十分に説明できていなかった。既存のコードは、特定の状況下では使用が認められていたものの、最終選考の審査員らに対して、既存コードの利用について明確にできていなかった」と認めた。
ハッカソンの規則と、審査プロセスを調査した後、サンフランシスコに拠点を置く同社は、当初の決定を支持するとともに、上位2チームを優勝チームとし、各チームに100万ドルの賞金を贈ることにした。
当初の優勝チームであるUPSHOTは、通常の英語を使用したクエリ(音声入力、またはテキスト入力)をサポートするとともに、レポートの作成や編集を行うモバイルアプリでコンテストに参加していた。同チームにはSalesforce.comの元従業員がおり、この従業員は現在、新興企業であるUPSHOTの最高技術責任者(CTO)を務めている。
しかしSalesforce.comの調査によると、今回のコンテストではそうした事実は審査結果とは無関係だという。同社は「この規則は、2013年8月31日以降にSalesforce.comを辞めた従業員の参加を禁止するというものであり、UPSHOTの当該チームメンバーがSalesforce.comを辞めたのはそれよりも前だった」ことをあらためて指摘した。
既存コードの利用についても、関係者らは今回のコンテストの規則に違反しないと述べている。同規則に照らし合わせると、「アプリの大半を占めているわけではなく、サードパーティーの権利を侵害しているわけでもない」という。
またSalesforce.comは、医療保険の適用範囲やプランを選び出すモバイルアプリを開発し、今回のコンテストで2位となった企業Healthcare.Loveに関する疑念もぬぐい去った。Salesforce.comはこの新興企業の株式を少数保有しているが、調査では「そうした投資は取るに足りず、Salesforce.comは該当企業の実権を一切手にしていない」ため、Healthcare.Loveが勝利を手にする資格があるとしている。
要するにこの規則の下では、少なくともSalesforce.comにとって、Healthcare.Loveは「Salesforce.com関連の組織」ではないということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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