フルHDなのに4K相当表示ができる理由--シャープ「AQUOSクアトロン プロ XL10」

加納恵 (編集部)2013年11月29日 21時49分
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 シャープは、フルHDパネルを搭載しながら、4K相当の表示ができる液晶テレビ「AQUOSクアトロン プロ XL10」シリーズを11月30日から順次発売する。発売に先駆け、4K相当の表示性能やその仕組みについて製品説明会を実施した。

  • 「AQUOSクアトロン プロ XL10」シリーズ

 XL10シリーズは、10月に発表されたAQUOSシリーズの最新モデル。46、52、60、70、80V型をラインアップする。1920×1080ピクセルのフルHDパネルながら、4K相当の高精細表示ができることが最大の特長で、シャープではフルHDモデルのハイエンドモデルに位置づける。

 4K相当表示を実現した背景には、シャープが2010年から取り組んでいる「4原色技術」が大きく寄与している。通常、液晶パネルはR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色を用いて表現しているが、4原色技術ではこのRGBにY(黄色)を加えることで、色の表現力を高めた。これにより金色や明るい青など、微妙な色合いが表現できるようになったという。

 4K相当表示では、4原色の中に緑と黄色の2つの輝度ピークを持っていることがポイント。これは解像度は画素数ではなく、輝度ピークの数で決まることを応用した技術で、通常のRGBでは緑のみが輝度ピークになるため、1画素につき1つの輝度ピークを持っていることになるが、4原色技術では、1画素につき2つの輝度ピークを持つことができる。これにより、解像度を高めることができるとしている。

  • AVシステム開発センター所長である吉田育弘氏

 また、4原色が青-緑-赤-黄の順番で並んでいることも重要で、輝度ピークを支える色になる緑と黄を隣同士で並べるのではなく、赤と青の間に入れて配置することで、緑を中心にした場合と黄色を中心にした場合の2種類の白黒描き分けが可能になるとのこと。1つの画素を右半分と左半分の2倍の解像度として認識できるという。

 一方垂直方向では、画素を分けて駆動することで、解像度を高めた。シャープでは、斜め線などを滑らかに表示するため、1つの画素を上下に分け駆動する方式を以前から採用していた。XL10シリーズでは、この駆動方式を活用し、上下に別々の映像信号を加え、独立して制御できるようにしている。シャープのAVシステム開発センター所長である吉田育弘氏は「こうした技術により、今まで実現し得なかったフルHDのパネルに画素数以上の解像度を表示することが世界ではじめて可能になった」と話す。

  • 緑と黄色を持つ4原色技術により、2つの輝度ピークが得られる

  • 2種類ある白黒の描き分け

  • すでに採用していた1画素を上下分割した上で、独立制御できるようにした

  • AVシステム開発センター 画質開発グループチーフの小池晃氏

 XL10シリーズでは、フルHDパネルに4K相当の高精細表示を実現する「超解像 分割駆動エンジン」を搭載する。これはフルHDの信号を4Kへアップコンバートする「4Kアップコンバート回路」と「解像度再構成回路」から構成されているもので、このエンジンと4原色技術をあわせることで、高精細な映像が再現できる。

 実際の4K相当の映像では、画面に映る文字の線や洋服のストライプの柄が細く見えたり、肌の質感がきめ細かく表現されたりといった効果がもたらされるとのこと。. AVシステム開発センター 画質開発グループチーフの小池晃氏は「フルHDは輪郭を立てているのでギラギラして見えるが、XL10シリーズは純粋にエッジだけがたち、遠近感、奥行き感が出て、リアルな表現になっている」と4K相当の画質を表現する。

  • 従来のフルHDモデル(左)とXL10シリーズ(右)の画質比較

  • THXディスプレイ規格の認証を取得している

  • クラウドゲーム「G-cluster」など最新の機能も導入している

  • 液晶デジタルシステム事業部 商品企画部部長の指出実氏

 各社から4Kテレビへの参入が相次ぎ、テレビ市場は4Kに向けた動きが急務だ。その中で4K相当のフルHDテレビを発売する意味を、液晶デジタルシステム第一事業部第一商品企画部部長の指出実氏は「大型テレビを地上デジタル化前に購入した人たちが、これから買い替え時期に入ってくる。買い替え時に重要視されるのは画面の大きさ。当時37型を購入した人たちが次に購入するのは52型あたりと見ている。しかし画面は大きくなっても、視聴距離はそう簡単に変えられない。XL10シリーズであれば、大画面に買い換えても画面の精細感が上がっているため、画素が粗く見えるという障害がなくなる。フルHDでも高精細映像が見られるという提案をしていきたい」とした。

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