では肝心のサービスはどうなのか。実際に筆者も実際にUberを利用し、東京・渋谷から青山一丁目まで移動してみた。アプリを立ち上げて乗車場所を指定すると、概算の到着時間が表示され、付近まで来るとSMSで通知がなされる。
到着後はドアは運転手が開けてくれるほか、室内も一般的なタクシーと比較して広く、快適だった。降車時に支払いに時間を取られることもなく、非常にスムーズ。サービス自体は非常に素晴らしいものだった。降車後しばらくすると、メールで領収書が届いたほか、アプリで運転手の評価を求められた。筆者は迷わず5段階評価で5を付けるに至った。
なおこの領収書には、今回のサービスが「Uber Japan株式会社」のパートナー会社により提供されたということ、加えてUber Japanが第2種旅行業者として認可されていることが記載されていた。前述の「どのようにサービスを展開しているのか」という疑問の回答はおおむね関係者の言うとおり。日本法人が旅行業者の認可を得ており、一般乗用旅客自動車運送事業者と提携する形でサービスを展開しているというのが現状のようだ。
“黒船”の登場にタクシー業界の心情は複雑だ。筆者が乗車したUberの運転手は、社名などは明言しなかったもののUberと提携関係にある会社の人間であると説明。その上で筆者の問いかけに対して「試験的な段階なので何とも言えないが、将来的にはライバルになる可能性もある」と漏らした。
また、取材をする中で「現状はITに詳しい人たちが興味本位で1日5、6回利用する程度なので売上も大きくないのではないか」「タクシーをすぐに拾えない海外ならまだしも、タクシーをいつでも拾える日本でどれほどニーズあがるのか」と、サービスについて否定的に語る関係者もいた。
だが、スマートフォンを使ったタクシーの配車サービス自体が日本でも認知されはじめているのは事実だ。日本交通では、日本マイクロソフトと展開する「全国タクシー配車」経由での売上が10月に20億円を突破したと発表している。また、前述のエムケイグループでも独自のスマートフォンアプリ「MKスマホ配車」を展開。提供エリアを拡大中だ。
さらに、スマートフォン配車サービス「Hailo」を手掛ける英国Hailo Network Holdingsは、KDDIとグローバル・ブレインが展開するベンチャー投資ファンド「KDDI Open Innovation Fund」からの出資を受けており、大阪エリアで試験的にサービスを展開しているという。同社も世界16都市でサービスを提供している。
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